ザ・ウォーク(2015年 アメリカ)

ザ・ウォーク(通常版) [DVD] - ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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1974年、アメリカ・ニューヨーク。ある男が、ニューヨークのシンボルである自由の女神像のトーチの部分まで登って、立っています。男には、よく尋ねられる質問がありました。「なぜ、どうして、綱渡りなどするのか?」、「なぜ、無謀な事を?」、「なぜ、死の危険を冒す?」しかし、この男曰く、綱渡りと死は違うのだとか。男は、「死」という言葉を滅多に口にしません。あえて、反対の意味を持つ「生」という言葉を使います。つまり、この男にとって、綱渡りとは生きる事なのです。

ザ・ウォーク IN 3D(通常版)(2枚組) [Blu-ray] - ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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男は、2棟の高層ビルから成るワールドトレードセンターに恋をしていました。ワールドトレードセンターとは、ニューヨークにある110階建ての建物で、高さはなんと411メートルもあります。ワールドトレードセンターが男を手招きする事で、男はある想いに駆り立てられました。ワールドトレードセンターのビル同士の間にワイヤーをかけ、その上を歩きたくなったのです。男は、この事自体が不可能に近い事だと十分分かっていました。なぜなら、あくまでメッセージ性を持つ芸術的なクーデターとして行いたいため、事前に警察に許可を取らない事を大切にしているからです。もし、事前に警察に届け出たら、クーデターではなくなってしまいます。それでも、この男は、警察に逮捕されるような危険を冒してまで、夢を叶えたいと考えていました。男にとって、そう考える理由を言葉で表すのは難しいのですが、それに至るまでの経緯を説明する事ならできます。一体、彼は、どういった経緯を経て、今日に至ったのでしょうか?

ザ・ウォーク (吹替版) - ジョセフ・ゴードン=レヴィット, ベン・キングズレー, Robert Zemeckis, Steve Starkey, Robert Zemeckis, Jack Rapke
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1973年、フランス・パリ。男の名は、フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。フランスで生まれ育った、無名の自称綱渡り師です。フィリップは、パリの街角で大道芸を披露して、生計を立てていました。自分で縁を描き、その中で、シルクハットを被り、背の高い一輪車に乗って、大道芸を披露するのです。円の中は、フィリップにとって、決して汚されてはいけない聖域です。フィリップを見守る観客の中で、もし、足が円の中に入ってしまった人がいたら、フィリップは、一輪車で足を容赦なく踏みつけました。しかし、フィリップは警察から許可を貰わずに、大道芸を続けていました。フィリップの姿を見つけた警察官たちが警笛を鳴らしながら近付いてくると、フィリップは、人が変わったように、一目散に逃げていました。フィリップは、いつ、どこで、何をしていても、探している物がありました。探している物とは、綱渡り用のロープを張るのに最適な場所でした。フィリップは、最適な場所を見つけると、まず自分で円を描き、その真上にロープを張り、ロープの上で一輪車に乗ったまま、綱渡りをしていました。

ザ・ウォーク (字幕版) - ジョセフ・ゴードン=レヴィット, ベン・キングズレー, Robert Zemeckis, Steve Starkey, Robert Zemeckis, Jack Rapke
ザ・ウォーク (字幕版) - ジョセフ・ゴードン=レヴィット, ベン・キングズレー, Robert Zemeckis, Steve Starkey, Robert Zemeckis, Jack Rapke

ある日、フィリップは、大道芸の一環で、小さなボールを空に向かって投げました。ボールがフィリップの口の中に入ったまでは良かったのですが、ボールが勢いよく歯に当たり、歯に激痛が走りました。フィリップは、予約を取らずに近くの歯科医院に駆け込みます。フィリップが事情を受付係に説明すると、受付係はあくまで予約患者を優先させたいがために、フィリップに順番を待ってもらうよう、頼みます。しかし、フィリップは、激痛にどうしても耐えられず、無理を言って、順番を早めてもらおうとします。受付係は、もしかしたら、フィリップの言葉に信ぴょう性があるかもしれないと思い、フィリップに問診票を渡します。すると、フィリップは「痛みで、気絶するかもな。」と、憎まれ口を叩きながら、待合室の椅子に座ります。しかも、最優先で診察してもらえるよう、診察室のすぐ手前の椅子にです。

マン・オン・ワイヤー - フィリップ プティ, Petit,Philippe, 和代, 畔柳
マン・オン・ワイヤー - フィリップ プティ, Petit,Philippe, 和代, 畔柳

フィリップは、順番を待つ間、隣の席の男性の物真似をし始めます。男性が持っているのとほぼ同じサイズの雑誌を手に取り、男性と同じタイミングで、雑誌を上下逆さまにしたり、横に向けたりします。芸人の性と言われればそれまでですが、それにしても、真似される側としては、隣の行動が気になって仕方がありません。しかし、次の瞬間、フィリップは体が固まります。フィリップが手に取った雑誌に、とある高層タワーの記事が、イラスト付きで掲載されていたのです。そのタワーはまだ工事中ですが、完成した暁には世界一の高さになるといいます。フィリップとしては、絶対に綱渡りをしない訳にはいきません!フィリップは、歯の激痛の事など、もうどうでもよくなってしまいました。そして、誰も見ていないのを確認してから、くしゃみをしたふりをして、その勢いで、記事の載ったページをきれいにちぎって、持っていきました。フィリップが虜になってしまったその高層タワーこそ、ニューヨークのワールドトレードセンターだったのです。



フィリップが生まれて初めて綱渡りを見たのは8歳の時で、サーカス団・オーマンコウスキ団が故郷の町にやって来たのがきっかけでした。オーマンコウスキ団は、世界一の綱渡りの一座として知られ、「白い悪魔たち」と、呼ばれていました。フィリップは、オーマンコウスキ団のテントにたった一人で忍び込み、プロの綱渡り師の華麗な技の数々に見入ってしまったのです。公演が終了した後も、フィリップは感動から抜け出せず、いつまでも一人だけ客席に残っていました。



この日の出来事がきっかけで、フィリップは、家の庭に植えられている木と木の間にロープを張り、綱渡りを真似し始めました。最初はロープを五重に張っていましたが、だんだん慣れていくうちに、1本、また1本とロープの数を減らしていき、ついには、プロの綱渡り師たちと同じように、ロープが1本になっても平気になりました。父親は、収入が安定している仕事にまるで興味を示さない息子に、失望するのでした。



ある日の夜、フィリップは、再び町に来ていたオーマンコウスキ団のテントに忍び込み、綱渡り用の柱に上ります。そして、柱と綱の境目までゆっくりと歩を進め、真っ暗でほとんど何も見えない中で、力試しを試みます。しかし、真っ暗な場所で最初の一歩を踏むには大変な勇気が必要で、フィリップは足が少し震えてしまいます。そんな時、突然、照明の電源を入れる音が聞こえ、一人の年老いた男性が、「降りてこい!」と、叫びます。男性の名は、ルディ・オーマンコウスキ(ベン・キングズレー)。オーマンコウスキ団の座長で、団員たちから「パパ・ルディ」と、呼ばれていました。



その後、フィリップは、オーマンコウスキ団の一員となります。フィリップは、綱渡りやジャグリングに関してはあまり苦労しませんでしたが、パパ・ルディが普段話すチェコ語の聞き取りには苦労しました。さらに、フィリップは、パパ・ルディから、芸人としての基本事項と言える、観客に対する挨拶の仕方を学ぶのですが、フィリップはそれを学ぶ意味をさっぱり理解できず、パパ・ルディに反抗します。パパ・ルディは、芸が上手にできればいいと思い込むフィリップを「観客あってのサーカスだぞ。」と、たしなめます。しかし、フィリップは、「自分は、ピエロじゃなくて、アーティストだ。」と、捨て台詞を吐いて、パパ・ルディとの師弟関係を一方的に解消してしまいます。さらに、フィリップは、綱渡り師では生計を立てられないのではと心配する両親とも一方的に縁を切り、当てのない旅に出ました。



まず、フィリップが訪れたのは、パリの中心部でした。フィリップは、街でギターの弾き語りをしていた美術学校の学生・アニー(シャルロット・ルボン)に一目惚れし、アニーと恋仲になります。やがて、フィリップは、アニーに許可を取ってもらった上で、アニーが通う美術学校の中庭で、綱渡りの練習をするようになりました。その様子は、肩からカメラをぶら下げていた青年ジャン・ルイ(クレマン・シボニー)の目に留まります。ところが、その瞬間、フィリップは、ロープから誤って転落します。オーマンコウスキ団の公演で虜になった綱渡りは、見よう見まねで完璧にできてしまう程、甘くはなかったのです。フィリップは、パパ・ルディの家を訪れ、一方的に師弟関係を修復させます。フィリップは、まず、パパ・ルディから、ロープの結び方を一から学ぶ事になりました…。



この映画の主人公のフィリップ・プティは、実在の人物です。つまり、フィリップが1974年にニューヨークで体験した事は、なんと事実なのです。「永久(とわ)に美しく…」(1992年)、「フォレスト・ガンプ 一期一会」(1994年)のロバート・ゼメキス監督は、フィリップ・プティ本人の著書「マン・オン・ワイヤー」を見事に映画化しました。



フィリップは、この後、紆余曲折を経て、ニューヨークに乗り込みます。そして、まだ建設中のワールドトレードセンターの頂上で、あえて命綱を使わない綱渡りに挑むのですが、そのために、フィリップは、綱渡りに必要な情報をたくさん集めるために様々な姿に変装して、ワールドトレードセンターに忍び込みます。フィリップの変装の上手さは、もはや天才詐欺師並みです。



それにしても、この映画は、フィリップが我儘を通すシーンや、ずる賢く行動するシーンが多いですねえ。どちらのシーンも、高所への並々ならぬ執着心が彼をそうさせているのだと思います。フィリップの性格が一番分かりやすく表れているのは、物語の前半で、フィリップが歯科医院に駆け込むシーン。緊急性をアピールする時の言葉の選び方がとにかく秀逸で、歯科医院の大切な備品である雑誌から、気になる記事を勝手に持っていく時も、完璧にアクシデントらしく演技をしていました。常識ある人なら、間違いなく憤りを覚えると思いました。



そんなフィリップの我儘、ずる賢さの先に待っていたのは、悲願だったワールドトレードセンターでのあまりにも危険なチャレンジでした。無事にロープを張る事ができたものの、いざ始まりの時を迎えると、建物の屋上と屋上の間に大きな雲が広がり、視界は極端に悪くなります。フィリップは、このようなコンディションで、どうやって、最初の一歩を踏み出すのでしょうか?

ザ・ウォーク(通常版) [DVD] - ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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