アルフィー(1966年 イギリス)


アルフィー (1966) [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2010-05-28

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イギリス・ロンドンのイースト・エンドにあるアパートで、整理整頓を全くせずに暮らすアルフィー(マイケル・ケイン)は、この日の夜も、そんな暮らしをしているとはとても思えないほど、スーツを見事に着こなし、「映画を観に行く」と夫に嘘をついてきたという若い人妻・シディ(ミリセント・マーティン)を助手席に乗せて、自身の愛車を運転していました。しばらくして、アルフィーは、誰もいない小道に愛車を停めると、窓ガラスが曇っているのをいい事に、恥ずかしがる彼女を押し倒します。シディは、アルフィーの強引さの虜になっていますが、アルフィーはというと、そこまでの感情を抱いていません。ただ、紳士のふりをして、シディの悩みに耳を傾けるのみ。アルフィーは、正真正銘のプレイボーイなのです。


アルフィー~ベスト・オブ・ヴァネッサ・ウィリアムス
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1996-12-09
ヴァネッサ・ウィリアムス

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アルフィーが次に訪ねたのは、こちらもアルフィーの虜になっている女性・ギルダ(ジュリア・フォスター)の住むアパート。アルフィーは、ギルダに「結婚の意志はない。」と伝えてあるのですが、ギルダは、そんなアルフィーの気持ちをよく理解していました。ギルダは、アパートの玄関の扉を叩く音が聞こえると、アルフィーが来てくれたと思い、扉を開けます。しかし、扉の向こうにいたのはアルフィーではなく、知人で、2階建てバスの車掌をしているハンフリー(グレアム・スターク)でした。ハンフリーは、この日、ちょうど仕事が終わったところで、寂しくてここに立ち寄ったのです。しかし、ギルダは、ハンフリーに構っている暇はありません。ハンフリーは、それを知ると、早々とギルダのアパートを後にします。すると、そこへアルフィーが到着します。アルフィーは、ハンフリーの姿を見逃しませんでした。なんと、自身がギルダのアパートに入った後、わざとギルダに対して嫉妬心を抱いてみせたのです。「ハンフリーと行き違った。デキてるのか?」と。普段、アルフィーは、このように、鋭い観察眼と巧みな話術で、数多くの女性たちを惹きつけているのです。そんなある日、ギルダは、アルフィーとの子どもを身籠っている事が分かります。それでも、アルフィーには結婚の意志がなく、ギルダはシングルマザーになる決意をします。やがて、ギルダは男の子を出産、男の子はマルコムと名付けられます。アルフィーは、「ギルダと深入りし過ぎてしまった」と反省するだけ。しかし、だからといって、ギルダと別れた訳ではありませんでした。



アルフィーは、シディ、ギルダの他にも、多くの女性と関係を持っていました。クリーニング店のマネージャー、フットケアサービスの治療医、ボディービルで留守がちな彼氏と付き合っているという女性と、次から次へと女性たちを惹きつけていました。しかし、ギルダとマルコムが住むアパートを訪ねる事を忘れてはいませんでした。ある日、ギルタとマルコムに会いに行ったアルフィー。アルフィーは、ずっと、ある事が気になっていました。ギルダは、妊娠中、マルコムを自分で育てるつもりがなく、大富豪の養子にしたがっていたのですが、実際に、マルコムが生まれてみると、マルコムの事が愛おしくなり、養子に出すのを嫌がるようになったのです。アルフィーは、ギルダの気持ちが変わってしまったのが許せませんでした。アルフィーは、ギルダの気持ちが元に戻るよう、言葉巧みにギルダを説得します。ギルダの経済力のなさを容赦なく責めたら、きっと大丈夫だと信じるアルフィー。しかし、アルフィーが立てた作戦は、ギルダの怒りを買ってしまいます。それでも、アルフィーは攻撃の手を緩めようとしませんでした。

結局、ギルダはマルコムを手放しませんでした。ギルダは、ビール工場で働き始め、働いている間は知人にマルコムを預けました。一方、アルフィーは、あれだけ言いたい放題言いながら、いつの間にか、父性に目覚めていました。週末になるとマルコムの良き遊び相手になったり、「自分の体は、自分一人だけのものではない。」と考えるようになって、ある日、健康診断を受けたりしました。そんなある日、ギルダは、仕事の休憩時間に、ハンフリーと会います。ハンフリーは、ギルダとの結婚をすでに決意しており、この日、ギルダに、亡き母の形見である結婚指輪を渡そうとします。しかし、ギルダは、ハンフリーとの結婚を躊躇していました。ハンフリーが、アルフィーの血を引くマルコムを心から愛してくれるかどうか、心配だったのです。

その日の夜、アパートでアイロンがけをしていたギルダは、マルコムを寝かしつけて、一休みしていたアルフィーに、「ハンフリーと今週2度、昼間に会ったの。」と告白します。アルフィーは、自分が気付かぬ間にギルダが別の男性と二人っきりになっていた事に、腹を立てます。そして、「話の内容を知りたくない。」と言ったかと思うと、急にハンフリーの狙いを知りたがります。ギルダは、ハンフリーが自分と結婚したいと考えている事、結婚するかどうかはアルフィーと相談してから決めようと考えている事を説明します。しかし、アルフィーは、なぜギルダが自分に相談する必要があるのか、不思議でした。しかし、ギルダは、週末だけとはいえ、アルフィーと家族のような関係を築いている以上は相談する必要があると考えていました。マルコムには、週末だけ会う実の父親ではなく、血の繋がりはなくても、毎日会える父親が必要だったのです。そのためには、愛してはいないが尊敬はしているハンフリーと結婚した方がいいのではないかと思ったのですが、なかなか、決断できずにいたのです。アルフィーは、怒りが収まらず、とにかく怒りに任せて、ギルダとハンフリーの結婚に賛成し、アパートを出て行ってしまいます。



ある日、アルフィーは、顧客であるパブの経営者一行と一緒に競馬場へ行く事になっていましたが、その前に呼吸器科のクリニックに立ち寄ります。健康診断でレントゲン写真を撮った際に、医師の診察の必要が生じたのです。診察の結果、アルフィーは、肺に影がある事が分かります。診察した医師(エレノア・ブロン)は、アルフィーに休養を勧めます。アルフィーは、「これから、競馬場へ行かなければならない。」と反抗しますが、医師はこれを一蹴します。因みに、この時、アルフィーの頭の中には、ギルダを愛する気持ちは微塵もありませんでした。というのも、ギルダから、ハンフリーとの結婚を報告する手紙が届いたからです。実は、アルフィーは、手紙を受け取った後、ギルダに会いに行っていました。ギルダは、アルフィーに会うのを拒みましたが、アルフィーの声に気付いたマルコムがアルフィーを呼び始めたため、仕方なく、マルコムをアルフィーに会わせたのです。しかし、ギルダは、アルフィーがマルコムに触れないよう、警戒していました。アルフィーは、ギルダの事をすっかり諦めているように見えますが、実は、全く違っていたのです。

最初は、医師からの入院の勧めに反抗していたアルフィーでしたが、結局、入院します。しかし、面会に訪れる人は全くいませんでした。ある日、看護師・カーラ(シャーリー・アン・フィールド)が、アルフィーの病室に入って来ます。カーラは、アルフィーの注射と称して、ベッドの周囲を衝立で囲むと、靴を脱ぎ始めます。実は、アルフィーは、入院後、カーラに惹かれ、見事に誘惑する事に成功していたのです。一方、アルフィーと同室の入院患者・ハリー(アルフィー・バス)は、妻・リリー(ヴィヴィアン・マーチャント)が、遅刻しがちではありましたが、週に1回、面会に来てくれていました。ハリーは、リリーが来るのが、いつも待ち遠しい様子でした。この日も、リリーは、少し遅刻してハリーに会いにやって来ます。2人の隣では、いつまでも衝立が立てられていて、2人は困惑するばかりでした。



翌月、アルフィーは退院します。入院生活は実に6か月に及びました。アルフィーは、迎えに来てくれた知人から、ロンドンの観光名所・タワーヒルで観光写真を撮影する仕事を紹介してもらいます。物欲しそうな女性がウヨウヨいるから、アルフィーにピッタリだというのです。実際に、アルフィーがこの仕事に就いてみると、なかなか簡単には写真を撮らせてもらえません。アルフィーが何となくカメラを構えると、夫と一緒にいた中年女性・ルビー(シェリー・ウィンタース)の姿が写っていました。夫は、写真に写るのを嫌がりますが、ルビーはまんざらでもない様子。アルフィーは、テムズ川の前でルビーに立ってもらい、彼女の服装を綺麗に整え、シャッターを切ります。その後、アルフィーは、ルビーに住所と電話番号を尋ね、ルビーはそれらが書かれたメモをそっと渡します。その後、アルフィーは、この仕事を辞めて、運転手の仕事に転職します。



ある日、アルフィーは、入院中であるハリーを見舞います。病院には、リリーの姿もありました。ハリーは、汽車で病院に来たというリリーに、「アルフィーに、車で家まで送ってもらったらどうか?」と提案します。リリーは、アルフィーに「申し訳ない。」と思いながらも、ハリーの提案を受け入れます。アルフィーは、リリーを車の助手席に乗せて、病院を後にします。道中、少々やつれた表情のリリーを見ていたアルフィーは、次第にリリーの美貌に惹かれていきます。気が付けば、2人は川に浮かぶボートに乗って、お互いに見つめ合っていました。そして、ボートを降りると、アルフィーはリリーと唇を重ねるのでした。



数日後、アルフィーは、仕事中に、20歳くらいとおぼしき少女・アニー(ジェーン・アッシャー)がヒッチハイクをしているのを見かけ、彼女の持つ初々しさに心を奪われます。アニーは、1台のトラックに乗せてもらい、アルフィーは後を追いかける事にします。やがて、トラックは道路沿いに建つ食堂に立ち寄ります。アルフィーも同じ食堂に立ち寄り、車から降りると、わざとトラックの荷台のひもを緩めます。そして、食堂の中に入ったアルフィーは、「トラックの荷台のひもが外れかけている。」と、トラックの運転手・フランク(シドニー・タフラー)に伝えます。すると、フランクは外へ様子を見に行き、その隙に、アルフィーは、アニーに近付きます。アニーが、ある事情で、何の当てもないロンドンで心機一転、人生をやり直そうとしているのを知ると、アルフィーは、なんと、アニーを自身のアパートまで連れて帰ってしまいます。アニーは、そのまま、アルフィーと同居する事になりました。アニーは、毎日、丁寧に床掃除をするような真面目な性格でした。ある日の晩、アルフィーは、そんなアニーの心の殻を破る目的で、彼女の処女を奪おうとします。しかし、彼女の脳裏に、別れた彼氏・トニーの事が浮かんでしまい、結局、失敗に終わってしまいます。アルフィーを拒んだアニーは、急に罪悪感に苛まれ、泣き出してしまいます。アルフィーは、アニーの姿に思わず胸が痛み、アニーにキスをするのでした。



次の日曜日、アルフィーは、一人である場所へ向かいます。そこでアルフィーを待っていたのは、アルフィーが写真撮影の仕事で出会ったルビーでした。アルフィーから見て、ルビーは、他の若い女性たちと違い、「愛してる?」と尋ねてこないので、心が安らぐ存在でした。アルフィーは、いつの間にか、若い女性と一緒にいる事に疲れてしまっていたのです。そんなある日、アルフィーは、1軒のパブで、見覚えのある男性と再会します。男性は、アニーをトラックの助手席に乗せていた、フランクでした。フランクは、アニーを口説いたアルフィーに憤りを覚えていました。フランクがアルフィーに殴りかかったのをきっかけに、パブの中は大乱闘に発展。アルフィーは、隙を見て、パブから脱出するのでした。

帰宅後、アルフィーは、顔に青あざができている事をアニーに指摘され、逆上します。さらに、着たい服が洗濯されたのにまだ乾いていない事に怒り、自身が買った肉でアニーがステーキパイを作った事に怒り、そして、怒りに任せて、アニーがつけている日記を本人に内緒で読んでいる事を告白してしまいます。アニーは、勝手に禁断の園に踏み入ったアルフィーに対して激しい憤りを覚え、荷物をまとめて、出て行きます。アルフィーは、すぐに我に帰り、アニーを探しに行きますが、アニーを見つける事は出来ませんでした。



翌日、アルフィーの元をリリーが訪ねてきます。実は、この時、リリーは、アルフィーの子どもを身籠っていました。勿論、ハリーはこの事実を知らず、リリーは、ハリーにバレてしまう前に中絶しなければなりませんでした。しかし、イギリスでは、妊娠28日目以降に中絶の手術を受けると、懲役7年の刑に処せられます。リリーが刑を逃れるには、病院に頼らない方法を選択せざるを得ませんでした…。



マイケル・ケイン演じる主人公・アルフィーの、何ともだらしがないプレイボーイ像、そして、最初から最後まで非常にテンポ良く話す狂言回しとしての仕事ぶりが印象的なこの映画は、ビル・ノートン原作の舞台劇が映画化されたものです。1966年に、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、同年のアカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、歌曲賞にノミネートされています。メガホンを取ったのは、ルイス・ギルバート。007シリーズのうち、「007は二度死ぬ」(1967年)、「私を愛したスパイ」(1977年)、「ムーンレイカー」(1979年)と、計3作で監督を務めています。音楽を手掛けたのは、ジャズ・サックス奏者のソニー・ロリンズ。とんでもないプレイボーイの物語を、上品な大人の雰囲気にしています。また、2004年には、アメリカ・ニューヨークを舞台にした、ジュード・ロウ主演のリメイク版が制作されました。



主人公・アルフィーは、ありとあらゆる女性を口説き、肉体関係を結ぶ場合がほとんど。こんなにも多くの女性を口説き続けて、アルフィーは、最後にどうなりたいのか、私は観ていて、全く分かりませんでした。しかし、アルフィーがアニーと別れてしまったあたりから、アルフィーの人生は、音を立てて崩れていきます。アニーとの別れ、リリーの望まぬ妊娠、息子・マルコムとの再会、ルビーによるまさかの行動と、アルフィーがしてきた事の重大さが、ひしひしと伝わってきます。これらの展開を経て、アルフィーはどうなっていくのでしょうか。



最後に、エンドロールについて触れたいと思います。エンドロールには、アルフィーら登場人物のモノクロ写真が登場します。水色一色のレタリング(文字の形や色のアレンジの事)との相性がとても良く、本当にカッコいいです。エンドロールで使われている曲は、バート・バカラックが作曲し、シェールが歌ったテーマ曲「アルフィー」です。私は、1996年に日本のテレビドラマのテーマ曲として使われた、ヴァネッサ・ウィリアムスによるカヴァーしか知らなかったので、シェールによるものを聴くのは、今回が初めてでした。シェールの歌声は、ヴァネッサ・ウィリアムスに負けず劣らず大人っぽい雰囲気で、大人への階段をまた1歩上がった気にさせてくれます。ご興味のある方は、ぜひ両者の聴き比べをしてみてはいかがでしょうか。


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