ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた(2017年 アメリカ)

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~[DVD] - ジェイク・ギレンホール, デヴィッド・ゴードン・グリーン
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2013年4月14日、アメリカ・マサチューセッツ州ボストン。毎年恒例のボストンマラソンのスタートを翌日に控えたこの町は、活気に満ちていました。コストコで精肉加工の仕事をしている28歳の男性、ジェフ・ボーマン(ジェイク・ギレンホール)は、そんなボストン市民の一人。ある日、ジェフは、仕事である大きな失敗をし、上司から厳重注意を受けます。きちんとタイマーをかけて、鶏肉を焼き始めたまでは良かったのですが、暇を持て余したのか、外へごみを捨てに行き、その間に焼いていた鶏肉が焦げてしまったのです。ジェフは、本来であれば、同僚のマヤと共に、責任を持って後始末をしなければなりません。しかし、この日だけは、どうしても後始末に関わる事ができません。なぜなら、この日は、ジェフが心から愛してやまないレッドソックスの試合があるからです。実は、レッドソックスは、この日までに2連敗を喫していました。ジェフは、こうなってしまった理由を、自分が「幸運のビール」を手に応援しなかった事だと思っていました。今度こそ、レッドソックスが勝つには、仕事を早く切り上げて、幸運のビールを手に、応援する事が大切なのです。こうして、ジェフは、マヤに後始末を頼み、着ていた白衣を脱ぎながら、大急ぎで職場を後にします。

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~[Blu-ray] - ジェイク・ギレンホール, デヴィッド・ゴードン・グリーン
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ジェフが向かったのは、レッドソックスの本拠地であるフェンウェイパークではなく、レッドソックスの試合の生中継をテレビで観る事ができる、近所のバーでした。バーには、既にジェフの母・パティ(ミランダ・リチャードソン)と叔母・ジェン(パトリシア・オニール)が来ていて、2人共、酔いが回っていました。ジェフは、2人の隣ではなく、以前から仲の良い飲み仲間たちのいるカウンターへ行き、冗談を言い合いながら、試合の行方を見守ります。すると、そこへ、ある若い女性が入ってきます。それまでずっと笑顔だったジェフの顔は、急に暗くなり、飲み仲間たちはジェフを心配します。そして、少し時間が経ってから、飲み仲間の一人が気付きます。「ヤバイ、あの女だ。」

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(字幕版) - ジェイク・ギレンホール, タチアナ・マスラニー, ミランダ・リチャードソン, クランシー・ブラウン, デヴィッド・ゴードン・グリーン, ジョン・ボローノ
ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(字幕版) - ジェイク・ギレンホール, タチアナ・マスラニー, ミランダ・リチャードソン, クランシー・ブラウン, デヴィッド・ゴードン・グリーン, ジョン・ボローノ

女性の名は、エリン(タチアナ・マスラニー)。ある事情で、ジェフをフッた元恋人です。ブリガム&ウィメンズ病院の幹部の一人であるエリンは、翌日のボストンマラソンに出場する予定になっており、病院のために寄付金を集めようと、寄付金を入れる大きな瓶を抱え、姉・ゲイル(フランキー・ショー)と一緒に、このバーを訪れたのです。ジェフは、何の躊躇もなく、エリンに近付きます。実は、ジェフは、エリンにフラれた後だけで、なんと6回もメールを送ったのですが、全く返事がありませんでした。メールが届いていたかどうかを確かめてくるジェフに対して、あっさりと肯定するエリン。ジェフは、大きな瓶に貼ってある写真をしつこいくらいに褒めたたえ、エリンと一緒に、寄付金を集めたいと言い出します。そして、その場で、大きな瓶を持って、バーの客たちに、寄付金の協力を呼び掛けます。客たちは大歓声を挙げますが、エリンは、ジェフの厚意に対して、嫌悪感を抱きます。

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(吹替版) - ジェイク・ギレンホール, タチアナ・マスラニー, ミランダ・リチャードソン, クランシー・ブラウン, デヴィッド・ゴードン・グリーン, ジョン・ボローノ
ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(吹替版) - ジェイク・ギレンホール, タチアナ・マスラニー, ミランダ・リチャードソン, クランシー・ブラウン, デヴィッド・ゴードン・グリーン, ジョン・ボローノ

その後、エリンとゲイルは、バーを出ます。ゲイルはジェフの人柄を褒めますが、エリンは、これまでジェフと3回も別れている事から、ゲイルの意見にどうしても賛同できません。すると、背後からジェフが追いかけてきます。ジェフは、翌日に、ボストンマラソンの会場へ行って、エリンを応援したいのですが、そうするにはまず、エリンから許可を貰う必要があると感じたのです。「ゴールで待つよ。」と、一方的に決めてしまうジェフに対して、エリンは、それを拒むべく、「明日は、レッドソックスの試合よ。」と、究極の弱点を突きますが、ジェフのエリンを思う気持ちは、それより勝っていました。



翌朝、ジェフは、ボストンマラソンに出場するエリンを応援しに行く準備で大忙しでした。ジェフと同居している母・パティは、二日酔いに苦しみながら、朝食を用意しました。しかし、一刻も早くエリンの元に駆けつけたいジェフは、朝食に目もくれずに、完成したばかりの手作りの横断幕を持って、早足で家を出てしまいます。パティは、朝食を食べる暇が全くない程、元恋人に執着する我が息子にただ呆れ返るのでした。



この年のボストンマラソンは、27,000人以上のランナーが出場していました。コースの沿道に詰めかけた人の数は、50万人以上。その50万人以上の人々の中の一人であるジェフは、ゴール地点近くの沿道に立ち、エリンの姿を必死になって探していました。両腕を限界までまっすぐ伸ばし、手作りの横断幕を掲げるジェフですが、27,000人ものランナーの中からエリンを見つけ出すのは、たやすい事ではありません。しかし、数多のランナーたちが沿道からの大声援を受けながら走るという、ごく幸せな光景は、突然の巨大な爆発音によって、一変します。何者かがゴール地点で爆発物を仕掛け、その思惑通りに爆発したのです。ゴール地点にいた人々が動揺し始めると、すぐに再び爆発音が聞こえました。ゴール地点では、巨大な白い煙が上がり、多数のランナーや観客が負傷し、このような光景を目の当たりにした人々の甲高い悲鳴が何度も響き渡りました。



その頃、エリンは、ゴール地点より少し手前の辺りをゆっくりとしたペースで走っていたため、爆発に巻き込まれる事はありませんでした。その後、エリンは、近くのバーで待機する事になりました。カウンターの向こうのテレビに目をやると、自身が目撃したばかりの光景が、何度も繰り返し放送されていました。しばらくすると、テレビに見慣れた顔の男性が映ります。エリンは、男性の顔を見て、ショックの余り、身体が震えます。



同じ頃、パティの元に一本の電話が入ります。電話の内容は、あまりにも突然の事で、パティは言葉を失います。そう、パティは、エリンの応援に行っていたジェフが負傷したとの知らせを受けたのです。その後、パティは、電話の相手から指定された場所へ向かいます。そこには、親族や、ジェフの父であるビッグ・ジェフ(クランシー・ブラウン)も、深刻な表情で駆けつけていました。しばらくすると、女性の声が聞こえてきます。「ボーマン家の方々は、いらっしゃいますか?」パティたちは、すぐに返事をし、奥の部屋に案内されます。まず、パティたちが面会したのは、男性医師・ケイリッシュでした。ケイリッシュは、こう説明します。「息子さんは、無事です。」この言葉に、安堵するパティたち。



ケイリッシュは、説明を続けます。「両脚から出血していましたので、止血帯をしてから救急搬送しました。すぐに挿管処置をした上で、手術室へ運びました。」しかし、この後、パティたちは、ケイリッシュからあまりにも残酷な現実を突きつけられます。「そして、両脚の膝上から切断しました。」ジェフは、爆発によって、膝から下を激しく損傷していたため、治療にあたった医師全員が、膝から下を残す事は不可能だと判断したのです。この頃、エリンは、ジェフの搬送先が分からず、病院という病院を回っていました…。



ここで、ボストンマラソンのテロ事件について、触れたいと思います。2013年4月15日、アメリカ・マサチューセッツ州ボストンで、第117回ボストンマラソンが開催されました。犯人がゴール地点付近で仕掛けていた爆発物が、開催中に2度にわたって爆発し、3人が死亡、282人が負傷しました。3人の死者の中には、まだ8歳の男の子がいて、非常に胸が痛くなったのを今でも覚えています。



282人の負傷者の中には、手足の切断を余儀なくされた人が少なくありませんでした。その中の一人が、この映画の原作者で主人公のジェフ・ボーマンです。このテロ事件で、両脚の膝から上を切断したジェフは、2014年に、ブレット・ウィッターとの共著の形で、回顧録"Stronger"を出版しました。2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件での自身の体験が綴られているこの本は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストにランクインし、ジェフは、「ボストン ストロング」の象徴的存在となりました。"Stronger"の出版を機に、ジェフは、講演活動を行うようになりました。悲劇を乗り越えた自身の体験を語り、多くの聴衆に感動と励ましを与えています。



そのジェフを演じたのは、ジェイク・ギレンホール。この映画では、ジェフ役を演じただけでなく、プロデューサーも務めました。ギレンホールは、ジェフを演じるために、ジェフ本人と会って話す時間をたくさんとって、持ち前の洞察力で、ジェフという人間を深く理解していきました。物語の後半では、ギレンホールの洞察力がよく分かるシーンが登場します。それは、ジェフが両足の膝上から下を切断する手術を受けた後、病室で初めて包帯を交換するシーンです。ジェフは、切断した後の両脚を見るのを恐れて、最初から最後まで、頭を真横に向けて、両目をきつく閉じます。その間、包帯の交換が注意深く進められていきますが、古い包帯が慎重に外された時、切断部分に激痛が走り、ジェフは胸を締め付けられるような叫び声を上げます。元恋人・エリンへの未練の巨大さに、嫌悪感を感じずにはいられないジェフですが、このシーンに関しては、テロ事件によって障がい者にさせられたばかりの者の生の声を聞いた感覚になり、その壮絶な苦しみが痛いほど伝わりました。



物語の舞台となったボストンは、市を挙げて撮影に協力しました。全てのシーンの撮影がボストン都市圏で行われましたが、中には、メジャーリーグのボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで撮影が行われたシーンもありました。また、エキストラの約80%をボストン市民が占めたり、ジェフ本人の治療に関わった医師、看護師、義足技師が出演したりと、ボストンは、非常に深みのあるリアリティーをこの映画にもたらしました。



そのリアリティーを見事に引き出したのは、メガホンを取ったデヴィッド・ゴードン・グリーン監督です。グリーン監督は、アメリカ・アーカンソー州出身。他の代表作に、「スモーキング・ハイ」(2008年)、「セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅」(2013年)、「選挙の勝ち方教えます」(2015年)があります。いずれも、日本未公開の映画ばかりですが、DVDで観る事ができるので、ご興味のある方はぜひ。特に、「セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅」は、ベルリン国際映画祭監督賞受賞作なので、要注目です。



物語の後半、ジェフは、打ちのめされそうな日々を乗り越え、次のステップに向けて進み始めます。しかし、ジェフは、マスコミに、奇跡の生還を果たした、まさに、「ボストン・ストロング(ボストンよ、強くあれ。)」の象徴として祀り上げられ、追いかけられる事になります。あくまで、普通の人間として生きていきたいジェフは、次第に苦悩するようになります。ジェフは、苦悩の末に、どうなっていくのでしょうか。

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