七年目の浮気(1955年 アメリカ)

七年目の浮気(特別編) [DVD] - マリリン・モンロー, トム・イーウェル, ビリー・ワイルダー
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アメリカ・ニューヨーク、マンハッタン島。この島の名前は、昔住んでいた先住民族・マンハッタン族に由来しています。マンハッタン族は、平和な種族で、漁や狩猟をして暮らしていました。そんな彼らには、ある慣習がありました。毎年、猛暑と湿気の7月がやってくると、夫が妻と子どもを避暑地に送り出すのです。ここでいう避暑地とは、大抵の場合、涼しい高原を指しますが、中には、涼しい高原ではなく、海辺に送り出すような、金銭的にゆとりのある者もいました。マンハッタン島に残った夫は、妻と子どもを送り出した後、せっせと漁や狩猟に出掛けていきました。しかし、時には、妻よりも若い美女に目を奪われる事もあったようです。

七年目の浮気 [Blu-ray] - マリリン・モンロー, トム・イーウェル, イブリン・キーズ, ソニー・タフツ, ロバート・ストラウス, オスカー・ホモルカ, ビリー・ワイルダー
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それから、500年後。マンハッタン島では、この慣習がほぼ同じ形で残っていました。毎年夏になると、夫が妻や子どもを避暑地に送り出し、仕事に精を出すのです。ドラッグストアで買えるポケットタイプの本を発行するブレイディ出版社で司令塔を務めているリチャード・シャーマン(トム・イーウェル)もその一人。この日、リチャードは、仕事をいったん中断して、ニューヨークのグランドセントラル駅で、妻・ヘレン(イヴリン・キース)と息子・リッキー(ブッチ・バーナード)を避暑地に送り出します。そして、仕事に戻ろうとしたその瞬間、ブロンドヘアのひと際美しい女性(マリリン・モンロー)が、リチャードの目の前を通りかかります。その場にいた世の夫たちは、この女性に釘付けになります。リチャードもやはりそうなりましたが、「僕は行かないぞ」と、己を律して、仕事に戻るのでした。

七年目の浮気 (字幕版) - Tom Ewell, Marilyn Monroe, Evelyn Keyes, Sonny Tufts, Robert Strauss, Billy Wilder
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その日の昼、リチャードは、職場の近くにあるベジタリアンレストランで昼食をとり、帰宅します。リチャードが住んでいるのは、マンハッタンにある、3世帯が暮らすアパート。1階にはリチャード一家が、2階にはカウフマン一家が、そして、3階にはインテリア業の仕事をしている男性2人組が住んでいました。ヘレンとリッキーのいない1階は、とても静かでした。テレビの音はせず、料理の匂いもしなければ、ヘレンの声も聞こえてきません。リチャードは、退屈しのぎに本を読もうと考えますが、リビングルームに置きっぱなしになっていた、リッキーのローラースケートで足を滑らせ、転倒してしまいます。

マリリン・モンローの言葉~世界一セクシーな彼女の魅力の秘密 (だいわ文庫) - 山口 路子
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その時、あのブロンドヘアの女性がアパートの玄関にやって来ます。実は、女性は、カウフマン一家が旅行に行っている間だけ、2階の部屋を借りていたのです。女性は、玄関の鍵をなくしたが故にドアベルを鳴らすと、今度は、右手に持っていた小さな扇風機のコードが玄関のドアに引っかかってしまいます。リチャードがそれを見つけ、すぐに直すと、女性は2階に上がっていきます。女性の美貌にすっかり魅了されてしまったリチャードは、ご近所のよしみで1杯誘ってみたいと考えますが、ふと我に帰り、懸命に頭を切り替えようとします。しかし、頭の切り替えはなかなか簡単には上手くいきません。ヘレンと結婚して7年。リチャードは、これまで浮気をした事は一度もありませんでした。



しかし、危うく浮気をしそうになってしまった事は、これまで幾度かありました。自身の秘書のモリス(マルグリット・チャップマン)、去年、盲腸で入院した時にお世話になった夜勤の看護師・フィンチ(キャロリン・ジョーンズ)、ヘレンの親友で、結婚式の時に介添え人を引き受けてくれたエレイン(ロクサーヌ)と、リチャードは、何度も一線を超えそうになりました。しかし、何度もリチャードに浮気をされそうになったヘレンは、今でも、リチャードとは別の意味で不安が大きく、今回も、避暑地に滞在している間は、毎晩10時に電話をかける事にしていました。



しかし、この日は、まだ10時になる前に電話がかかってきました。リチャードは、ヘレンがいなくて寂しい事を言って、安心させたり、リッキーがどう時間を過ごしているかを尋ねたりしました。すると、ヘレンは、避暑地へ向かう列車の中で、トム・マッケンジー(ソニー・タフツ)と会った事を報告しました。それを聞いたリチャードは、目の色が変わります。「奴には近付くな。」なぜ、ヘレンは、トムに近付いてはいけないのでしょうか?



その後、リチャードが電話を切ると、トマトが植えてある植木鉢が勢いよく落ちてきます。頭をぶつけそうになったリチャードは、上に向かって、「何するんだ、殺す気か!」と、怒鳴ります。「何?」そう言って、2階から覘き込んだのは、あのブロンドヘアの女性でした。眉間にしわが寄っていたリチャードの表情は、急に和らぎます。女性は、リチャードが座っていた椅子が壊れているのに気付くと、弁償する事を約束します。この時、リチャードは、とうとう魔がさしてしまうのです。「もし、他に大事な用がなければ、こっちで1杯どう?」と。…



この後、女性はリチャードの部屋を訪れ、リチャードと女性の1対1のやり取りが繰り広げられます。そして、物語が終盤に入ると、女性が地下鉄の通気口の上に立ち、下からの強風で白いドレスの裾がふわりと大きく浮き上がるという、全世界の誰もが知る、あの名シーンへと続くのです。裾が浮き上がるのはほんの一瞬ですが、ほんの一瞬だからこそ、彼女の美脚がとても印象に残りやすいのではないかと思いました。



マリリン・モンローの代表作の一つであるこの映画は、ジョージ・アクセルロッドが手掛けた同名タイトルのブロードウェイ舞台劇を、「麗しのサブリナ」(1954年)、「お熱いのがお好き」(1959年)、「アパートの鍵貸します」(1960年)のビリー・ワイルダー監督が映画化したものです。マリリン・モンローのイメージがあまりにも強い映画なので、彼女が主演だと思っている方が少なくないのではないかと思いますが、実は、主演は、マリリン・モンローではなく、リチャード役のトム・イーウェルです。私は、今回、主演がイーウェルである事を知り、当時、主演として精一杯頑張っていたであろう彼に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。また、私は、マリリン・モンロー演じる女性に、決まった役名がない事に大変驚きました。当時、どういった経緯で役名がなしになったのか、詳しい事情は分かりませんが、この映画で最も存在感が大きい彼女に役名がないのは、とても不思議な感じがしました。



他に印象に残ったのは、物語の前半で、リチャードが過去に何度もあった浮気の危機を振り返るシーンです。浮気しそうになった相手を演じた女優さんたちは、皆、刺激的な衣装に身を包み、猫撫で声で台詞を言い、キスをする時の動きは品の良さがなく、男性の願望を具現化している印象を受けました。この映画が制作されたのは1955年。当時としては、ごく当たり前の演出だったと思いますが、現代であれば、「女性の尊厳を傷付ける演出だ」と、ひんしゅくを買う事になりかねません。ただ、演じる女優さんが、自ら納得して演じていれば、それは余計な心配と言えますが。



私がもう一つ印象に残ったのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を何度も耳にした事です。過去にテレビドラマやテレビアニメ、フィギュアスケートのプログラムで用いられた、スピード感のあるこの曲が、このようなコメディータッチの映画で用いられるとどう聞こえてくるのか、気になる方は、ぜひこの映画をご覧いただけたらと思います。

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