アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年 アメリカ)

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(吹替版) - マーゴット・ロビー, セバスチャン・スタン, アリソン・ジャネイ, ポール・ウォルター・ハウザー, グレイグ・ギレスビー, スティーヴン・ロジャース, スティーヴン・ロジャース
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一人の若い女性が、煙草に火を付けながらインタビューに応じています。彼女の名は、トーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)。1992年のアルベールビル、1994年のリレハンメルと、2度の冬季オリンピックに、フィギュアスケート女子シングルのアメリカ代表として出場した選手です。トーニャは、トリプルアクセルを成功させた事で知られる人物でした。世界では二人目、そして、アメリカ人女性としては初めての快挙でした。また、トーニャの元夫のジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)も、同様にインタビューに応じていました。トーニャが落ち着いた様子だったのに対して、ジェフはどこか落ち着きがありませんでした。

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そして、トーニャの母・ラヴォナ(アリソン・ジャネイ)も、インタビューに応じていました。ラヴォナは、夫の事を自慢していました。彼女の夫は、なんと、現在で6人目。ラヴォナ曰く、これまでの6人の中で最高なのだとか。因みに、トーニャは、ラヴォナの5番目の子どもで、彼女の4人目の夫が、トーニャの父にあたります。ラヴォナ曰く、トーニャは、とても手のかかる子どもでした。甘やかし過ぎたのだと反省するラヴォナ。それでも、トーニャが参加するフィギュアスケートの練習や出場する大会に必ず同行し、衣装を縫った事は、今でも誇りです。それなのに、トーニャは、ラヴォナの事をずっと「怪物」と呼んでいました。

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トーニャのコーチを務めたダイアン・ローリンソン(ジュリアンヌ・ニコルソン)は、トーニャをこう評します。「一般的に、トーニャは、すごく愛されるか、嫌われるかね。」アメリカという国自体も、すごく愛されるか、嫌われるかです。つまり、ダイアンから見て、トーニャとは、アメリカ人そのものだと言えるのです。

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トーニャのボディガードだったショーン・エッカート(ポール・ウォルター・ハウザー)は、かつて、トーニャが起こしたある事件について、こう証言します。「もともとは、ジェフとトーニャがナンシーを消したがっていた。それで、俺がアドバイスしたんだ。彼女、つまり、ナンシーを不能にする方法を。」ある事件とは、1994年に発生した「ナンシー・ケリガン襲撃事件」の事。トーニャと、ライバルのナンシー・ケリガン(ケイトリン・カーヴァー)がリレハンメル冬季オリンピックの代表を巡る争いを繰り広げていた頃に、ナンシーが突然、何者かに右ひざを殴打され、代表選考会の欠場を余儀なくされた事件です。ショーンは、なんと、この事件のきっかけを作った人物なのです。



ジェフがインタビューで落ち着きがなかったのは、無理もありません。ジェフは、27歳の若さでこの事件に関わり、世界の嫌われ者になったのですから。一方、トーニャは、自身の半生について淡々と語ります。トーニャは、労働者階級の子として育ちましたが、誰かに謝った事は、彼女の人生において一度もありませんでした。



40年前、アメリカ・オレゴン州ポートランドのとあるスケートリンク。スケート靴を履いたラヴォナは、火が付いたままの煙草を左手に持ち、まだ4歳のトーニャ(メイジー・スミス)の左手を自身の右手で握り、リンクの片隅で立っていました。ラヴォナは、トーニャのフィギュアスケートの指導をダイアンに頼みたくて、事前に電話で連絡していました。2人の目の前では、ダイアンが、たくさんの子どもたちにフィギュアスケートの指導を行っていました。ラヴォナは、ダイアンに声を掛けます。ダイアンは、ラヴォナの声に気付き、近付きますが、ラヴォナの左手に煙草があるのが見えると、「ここは、禁煙です。」と、注意します。しかし、ラヴォナは、謝ろうとはせず、「じゃあ、こっそり吸う事にする。」と、言って、再び煙草を口に加えます。トーニャがどんなに悪い事をしても謝罪しない性格は、ラヴォナの考え方を無意識に引き継いだものなのです。



実は、ダイアンは、ラヴォナから事前に電話がかかって来た時に、トーニャが全くの初心者だった事、まだ4歳と幼かった事から、頼みを断っていたのですが、ラヴォナは強引にトーニャをこのスケートリンクに連れて来たのです。ダイアンは、改めて頼みを断ろうとしますが、ラヴォナは、トーニャの才能がいかに素晴らしいのかを延々と語ります。しかし、今、他の子どもたちの指導の手を止めているダイアンは、いつまでも相手にしている訳にはいかず、子どもたちの方へ戻っていきます。すると、ラヴォナは、トーニャにスケーティングを見せるよう、命じます。ラヴォナの思惑などまだ良く分かっていないトーニャは、ラヴォナから命じられるがままに、ダイアンのいる方へ、スケーティングというより歩いて近付きます。トーニャは、ダイアンが立っている位置から至近距離の所で、無邪気な笑顔を見せます。



その結果、ラヴォナの思惑は現実のものとなり、トーニャはダイアンから指導を受けるようになります。半年後には、初めて大会に出場し、なんと、優勝しました。すべて、ダイアンのおかげかと思いきや、実は、ラヴォナが手取り足取り教えていました。決して、ダイアンの指導がイマイチだった訳ではありません。ラヴォナの教え方は、トーニャ(マッケナ・グレイス)が小学生になってからも、全く変わりませんでした。「違う」、「普通だね」、「やる気あるの?」など、その時の最高のスケーティングを真っ向から否定する事で、本人のモチベーションを上げるのが、ラヴォナのやり方です。たとえ、同じスケートリンクに来ている子どもの母親から暴言と受け止められても、気にも留めず、逆に、母親に「クソ女」と、言い返していました。



しかし、トーニャは、ラヴォナの教えを完璧に自分のものにできていたかというと、そうとは限らない時もありました。時々、トーニャの出来が悪いと、ラヴォナは、トーニャを誰もいないロッカールームに連れていき、自身の靴でトーニャをひっぱたいていました。また、トーニャが練習中に他の子どもたちとしゃべっていると、「その子は、敵だよ。友達じゃない。」と、練習に集中させました。さらに、トーニャがトイレに行きたくなった時には、練習が終わるまで徹底的に我慢させました。トーニャは、当然、最後まで我慢する事が出来ず、ひたすら滑り続けている間に足全体が濡れていきました。それでも、ラヴォナは、トーニャに同情するどころか、逆に侮辱する有様でした。



ラヴォナのスパルタ教育は、フィギュアスケートの練習だけではありませんでした。例えば、トーニャが家で勉強をしている時は、至近距離から目を鋭く光らせ、自身の問いかけに対して、トーニャが返事をしないと、椅子に座ったままのトーニャを足で蹴り倒しました。また、トーニャは、フィギュアスケートの衣装を着て、学校に登校した事もありました。勿論、クラスメートたちから笑われましたが、ラヴォナの意向だったので、仕方がありませんでした。登校前に、トーニャが、学校でアルバム写真を撮る話をしたところ、ラヴォナは、アルバム写真を、そのままフィギュアスケートの大会に使う事を思い付き、フィギュアスケートの衣装を着せて、登校させたのです。そんなトーニャの将来の夢は、事務の仕事をしながら、アイスショーに出演する事でした。トーニャの父は、家族で唯一、トーニャを優しく見守ってくれていましたが、いつも相手の人格を否定するラヴォナに嫌気がさし、家を出ていきました。



数年後、15歳になったトーニャ(マーゴット・ロビー)は、1日8時間に及ぶ練習をこなす事で、フィギュアスケートの技術がますます向上していました。しかし、人格に関しては、ラヴォナの影響を大きく受けていました。例えば、ある日、トーニャがスケートリンクで練習していた時には、ぶつかりそうになった相手に向かって、「邪魔だ!」と、敵意をむき出しにする事がありました。そんなトーニャを、リンクの端から見つめていた2人の男性がいました。後に夫となるジェフと、後にボディガードとなり、トーニャの人生が転落するきっかけを作る事になるショーンでした…。



この後、トーニャとジェフは、恋に落ち、デートをするようになるのですが、デートの時は必ず、ラヴォナが同行していました。実は、この頃、トーニャは、ラヴォナの強い意向で、高校を中退させられていました。ラヴォナは、束縛が酷いのを通り越しているのは確かですが、もう、どうやって彼女を表現したらいいのかが分かりません。しかし、当人同士が愛し合っていたのは、確かです。ジェフ曰く、トーニャは母親譲りの暴力を振るう事が珍しくなく、トーニャ曰く、ジェフもまた然りだったそうなのですが、それでも、2人の愛はそう簡単には冷めませんでした。しかし、双方の暴力は次第にエスカレートし、警察が介入する事が珍しくなくなります。やがて、2人は離婚し、そして、あの事件が起きるのです。



この映画でメガホンを取ったのは、「ラースと、その彼女」(2007年)、「ミリオンダラー・アーム」(2014年)のクレイグ・ギレスピー監督です。主人公のトーニャを演じたのは、「スーサイド・スクワット」(2016年)、「スキャンダル」(2019年)のマーゴット・ロビー。ロビーは、この映画でプロデューサーも務めています。トーニャの人格が形成されていく過程は、本当に見応えがあるのですが、それよりも凄かったのは、スケーティングのシーンでした。スケーティングの特訓は4か月に及んだのですが、練習のシーンも、試合のシーンも、たっぷりと時間が割かれていて、本物の選手以上に、ダイナミックで、安定感のあるスケーティングを披露していました。



トーニャの母・ラヴォナを演じたのは、「JUNO ジュノ」(2007年)、「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(2011年)のアリソン・ジャネイ。ジャネイは、この映画で、第75回ゴールデングローブ賞助演女優賞、第90回アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。決して人前で笑わないラヴォナの、トーニャに対するあまりにもアグレッシブな言動や行動の数々は、どれも観る者に強烈なインパクトを与えるものばかりで、賞の獲得は誰もが納得できると思います。



事件後、トーニャは、アメリカのフィギュアスケート界から追放されます。トーニャは、ラヴォナとは音信不通になり、一時期、生活費のためにボクシングに挑戦していました。現在は、別の男性と再婚。一人息子を育てながら、造園業の仕事をこなす日々を送っています。一方、ジェフは、皮肉にも、ナンシーという名の女性と再婚しましたが、その後、別の女性と再々婚し、2児の父となりました。今、事件の当事者たちは、事件自体をどう思っているのでしょうか?

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