イエスタデイ(2014年 ノルウェー)

イエスタデイ [DVD] - ルイス・ウィリアムズ, ペーテル・フリント
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1967年、ノルウェーの首都・オスロ。誰にでも、人生を変えるほど尊敬し、憧れる存在がいます。歴史の教科書には、作家、科学者、探検家、政治家など、世界を変えた人々が載っています。しかし、学校で歴史の授業を受ける学生たちの場合は、教科書に載っている人々ではありません。彼らが憧れるのは、今をときめくロックバンドです。ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、ローリング・ストーンズ、プッシーキャッツ、フォー・トップス、ママス&パパス、ジェリー&ペースメーカーズ、タートルズ、クリーム、シャドウズなど、考え出したら、きりがありません。

イエスタデイ - ペーテル・フリント, ヨルゲン・ストルム・ローゼンベリ
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オスロのとある高校に通うキム・カールセン(ルイス・ウィリアムズ)の場合は、生まれた時に、「ポール(・マッカートニー)にそっくり」と、言われた事があったにも関わらず、ホリーズに憧れていました。一見真面目そうなキムですが、切手収集にはからっきし興味がなく、道端に停めてある車の先頭に取り付けてあるエンブレムをこっそり盗んでは、自宅の自室にある小さな箱に入れていました。これまで盗んだエンブレムの数は、相当なものになっていました。

イエスタデイ オリジナル・サウンドトラック - マグネ・フルホルメン, ガイ・ベリーマン, ヨナス・ビエール, Apparatjik, マグネ・フルホルメン
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キムの親友・グンナー(オレ・ニコライ・ヨルゲンセン)は、ビートルズでいえば、ジョン・レノンのような人。声変わりが始まる前に、合唱団の候補になった事がある程、美しい声の持ち主です。しかし、今、グンナーは、あまり遊ぶ暇がありません。いつも、放課後になると、父親が営む商店で、配達のアルバイトをしているのです。その目的は、ジョン・レノンが使っているのと同じギターを買う事。しかし、グンナーのアルバイトの給料はとても安く、ギターが買えるまで、18年はかかりそうでした。



同じくキムの親友・オラ(ハルボー・シュルツ)は、楽隊の補欠ドラマー。ビートルズでいえば、もちろん、リンゴ・スターです。オラには、以前からドラムスを早く叩きすぎる癖があり、周囲からそれを再三指摘されてきたのですが、オラは、「これが、僕のスタイルだ。」と、反論していました。しかし、そんなオラには、苦手な人物がいました。その人物とは、自身の父親でした。オラは、毎日必ず夕食の時間と決められている5時までにダイニングルームに来られなければ、父親による平手打ちを避ける事はできませんでした。また、父親は、オラの髪形がマッシュルームカットになっているのが、あたかも不良少年への道を歩んでいるように思われ、普通の短髪に変えるよう、何度も息子に言い続けていました。



キムのもう一人の親友・セブ(ホーバール・ジャクウィッツ)は、どんな楽器も弾きこなし、ビートルズでいえば、ジョージ・ハリスンのような人でした。セブは、いつもジョージを真似て、内気なふりをしていました。セブの父親は、船乗り。セブの母親との夫婦仲はあまりよくありませんが、仕事の土産にと、セブのためにビートルズの最新アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハート・クラブ・バンド」を買ってくる優しさを持っていました。セブは、ビートルズの最新アルバムのおかげで、誰よりも早く、リバプールや見知らぬ世界の事を体験できました。



そう、4人は、サッカー選手や宇宙飛行士ではなく、ビートルズに憧れていたのです。ある日、4人は、グンナーの自宅に集まりました。目的は、セブが父からプレゼントされたビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」をじっくりと味わう事でした。この新譜への期待に胸が高鳴る4人。そして、いよいよ、セブの手によって開封されると、誰もが感激のあまり、言葉が出ませんでした。4人がジャケット写真を見ると、ビートルズの4人は、まるで制服のような衣装に身を包み、口ひげを蓄えていました。そして、セブが真新しいレコードを袋からゆっくりと取り出し、いよいよプレーヤーにセットして、再生します。キムたちは、1曲目の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」から、まるで海底に沈む大きな貝のように押し黙り、神の言葉を聞くかのように、じっと耳を澄まします。



その途中、グンナーの兄・スティーグが部屋に入ってきます。スティーグは、ビートルズの楽曲の完成度の高さに感激し、4人にロックバンドを組む事を勧めます。バンド名は、ズバリ「ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」。4人は、スティーグの突然の提案に少々戸惑います。さらに、この時、一同の目の前に、ビートルズをあまりよく思わないグンナーの父親が、レコードの音のボリュームを下げるよう、頼みにやって来て、一堂に緊張が走るのでした。この頃、ビートルズに影響を受けていた4人は、自分たちの未来がバラ色に思えました。ビートルズのように、世界を変える気でいました。そんなある日、キムが車のエンブレムを盗み続けていた事が、両親の知るところとなります…。



この後、キムたちは、バンド活動に情熱を傾けていくのかと思いきや、10代にして、酒とたばこの良さを覚えます。しかし、4人は、周囲の大人たちが心配した通りにグレていく訳ではなく、ごく普通の学校生活を送ります。その中で、バンド活動のシーンが早くも登場するのかといったら、まだそうではありません。ビートルズの楽曲は、青春物語に花を添えるだけの存在のままなのでしょうか、それとも、…。答えは、突然訪れました。



原作は、ノルウェーの国民的作家ラーシュ・ソービエ・クリステンセンが、1984年に発表したベストセラー小説"Beatles"です。メガホンを取ったのは、「ノーベル殺人事件」(2012年)のペーテル・フリント監督です。この映画は、全体的に超大作と呼ばれる映画のような華やかさはありませんが、ところどころで聴こえてくるビートルズの楽曲の数々が、良いアクセントになっています。また、この映画の音楽は、1980年代に一世を風靡したポップグループ"a-ha"のマグネ・フルホルメンが担当しています。音楽といえば、オープニングタイトルのBGMが印象的です。BGMに使われているのは、もちろん、ビートルズ。しかし、「ヘルプ!」ではありません。上映開始早々、「シー・ラヴス・ユー」を聴く事ができるのです。「シー・ラヴス・ユー」を聴けば、テンションを一気に上げる事ができますよ。



ところで、この映画の原題は、"Beatles"ですが、なぜ、邦題が「イエスタデイ」になっているのでしょうか?答えは、物語の終盤で分かります。「イエスタデイ」が実際に流れるシーンが登場するのですが、どういったシチュエーションで流れるかは、ぜひこの映画をご覧になって、確かめてみてください!この楽曲の歌詞が、じんわりと沁み渡りますよ。

イエスタデイ [DVD] - ルイス・ウィリアムズ, ペーテル・フリント
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