チリ33人 希望の軌跡(2015年 アメリカ・チリ)

チリ33人 希望の軌跡 [DVD] - アントニオ・バンデラス, ロドリゴ・サントロ, ジュリエット・ビノシュ, ガブリエル・バーン, パトリシア・リゲン
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2010年、チリ・コピアポ。この町に住むサンホセ鉱山の作業員・マリオ(アントニオ・バンデラス)の自宅では、大勢の人々が集い、マリオの勤続46年になる大先輩のマリオ・ゴメス(グスタヴォ・アンガリタ)の退職記念パーティーが開かれていました。人々は自宅の外でマリオの妻・カティの手料理に舌鼓を打ち、エルヴィス・プレスリーに扮したマリオの同僚・エルヴィスが彼らの前で「ハウンドドッグ」を歌い、その横で、子どもたちがサッカーをしていました。翌日に休暇を取る事になっていたマリオは、パーティーに来ていた職場の上司・ルチョ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)に声を掛け、ある頼み事をします。「(翌日も)働かせてくれ。金が必要なんだ。」ルチョは、マリオの身に何が起こったのかをあまり深く考えず、首を縦に振ってくれました。「殴らないのか?」と、ルチョの気持ちを確かめるマリオに、ルチョは、「まさか。」と言って、マリオを安心させるのでした。

チリ33人 希望の軌跡 [Blu-ray] - アントニオ・バンデラス, ロドリゴ・サントロ, ジュリエット・ビノシュ, ガブリエル・バーン, パトリシア・リゲン
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また、このパーティーには、同じ鉱山の作業員・アレックス(マリオ・カサス)も、妊娠中の妻・ジェシー(コート・デ・パブロ)と一緒に、パーティーに参加していました。アレックスとジェシーは、パーティーの途中で、偶然、アレックスの父親と会います。父親は、アレックスに、ある朗報を伝えます。なんと、アレックスの転職先が決まったというのです。アレックスがジェシーやもうすぐ生まれる子どもを養えるよう、父親が自身のコネを使い、整備工場を経営する知人のロドリゴに話を付けてきたのです。しかし、アレックスは、転職する気など、毛頭ありませんでした。なぜなら、整備工場の給料は、アレックスが妻子を養うにはあまりにも安かったからです。アレックスが望んでいたのは、あくまで鉱山の仕事でした。しかし、鉱山の仕事は、常に命の危険と隣り合わせ。父親は、「父親になる自覚が足りないのでは?」と、マリオの事を心配します。

チリ33人 希望の軌跡(吹替版) - アントニオ・バンデラス, ロドリゴ・サントロ, ジュリエット・ビノシュ, ガブリエル・バーン, パトリシア・リゲン
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その頃、コピアポの市街地では、マリア(ジュリエット・ビノシュ)がエンパナーダ、チーズ、チキン、ビノなどの食べ物を売り歩いていました。その途中、マリアは、ベンチに横になって眠っている若い男性の姿を見つけます。男性の名は、ダリオ(フアン・パブロ・ラバ)。ダリオは、マリアの弟で、サンホセ鉱山の作業員として働いていました。マリアは、ダリオのすぐ横に座ると、ダリオが寝ているふりをしている事に気付き、食べ物やペットボトルに入った水などの商品の一部をダリオのお腹のあたりに静かに置きます。「食べなくても、また置いとくからね。」マリアが立ち去ると、ダリオはすぐに目を覚まして、起き上がり、水を少し飲んで、マリアがくれた商品を置いたまま、どこかへ行ってしまいました。

チリ33人 希望の軌跡(字幕版) - アントニオ・バンデラス, ロドリゴ・サントロ, ジュリエット・ビノシュ, ガブリエル・バーン, パトリシア・リゲン
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8月5日の朝、1台のバスが、サンホセ鉱山の作業員・ジョニの自宅に近付いていました。ジョニに朝食を届けに来た妻・マルタ(アドリアナ・バラッザ)は、バスのエンジン音に気付き、ジョニを呼びに行きます。すると、自宅から、ジョニが、愛人・スサナ(エリザベス・デ・ラッゾ)と一緒に、姿を現しました。スサナは、マルタのジョニに対する献身ぶりを受け入れられませんでしたが、ジョニは、マルタに対して、感謝の気持ちを抱きます。既にバスに乗っていたマリオは、ジョニたちの姿を見て、「おい!『ドン・ジョヴァンニ』がもめてるぞ。」と、ジョークを飛ばします。すると、ジョニがこのバスに乗車します。ジョニは、この日も、マルタとスサナに見送られて、仕事場であるサンホセ鉱山へ向かうのでした。

チリ33人 ~ 生存と救出、知られざる記録 - ジョナサン・フランクリン, 共同通信社国際情報編集部
チリ33人 ~ 生存と救出、知られざる記録 - ジョナサン・フランクリン, 共同通信社国際情報編集部

この日、鉱山で作業をしていたルチョは、作業中に鏡の破片を見つけ、上司・カスティージョに届けます。もし、山が動くような事があったら、鏡の破片によって、岩間の鏡が割れてしまう危険があるのです。しかし、カスティージョは、「しょっちゅうある事だ。」と、取り合ってくれません。さらに、ルチョは、内部構造が弱くなっているのを理由に、坑道の点検の必要性も訴えます。しかし、カスティージョは、「岩盤は固い。あと20年は掘れる。」と、ルチョの話を途中で遮ってしまいます。カスティージョが仕事中に考えているのは、いかに金を儲けるかという事だけ。カスティージョは、坑道の点検よりも、部下たちに1日あたり250トンもの金を掘らせる事の方が大事だったのです。



この日、作業員たちは、鉱山の坑道をひたすら進み、鉱山の底まで行く事になっていました。この日から、ボリビア人の新人作業員カルロス・ママニ(テノッチ・ウエルタ)が新たに作業に加わるのですが、エルヴィスは、カルロスが外国人だからという理由で、カルロスをからかいます。その様子を見ていたルチョは、エルヴィスをすぐにたしなめます。一方、退職を2週間後に控えたマリオ・ゴメスは、ルチョから退職に関連した書類を受け取ります。マリオ・ゴメスが書類を受け取った瞬間、周囲から長年の労を労う拍手が沸き起こりました。こうして、作業員たちは坑道を走る専用の車に乗り込み、作業現場へ向かったのです。



作業員たちを乗せた車は、いよいよ坑道に入っていきます。車が進むにつれて、外からの光は次第に小さくなっていき、入口と出口を兼ねた所も次第に小さくなっていきます。今日、作業員の仲間入りをしたカルロスの表情は、真っ暗な作業現場が少し怖いのか、固くなっていました。坑道の脇には、過去に鉱山で発生した事故で命を落とした作業員たちの祭壇が、何か所かありました。祭壇にある遺影は、どれもまだ働き盛りの年齢の男性のものばかりで、たくさんの太くて短いロウソクには、火が灯されていました。



およそ1時間後、一同はようやく今日の作業現場に到着します。そこは、地下518mの場所で、気温は32度。さらに、地下700mの場所まで進むと、避難所があり、気温は、さらに上がって、34度もありました。作業員たちが作業を始めていく中、ルチョは、大きな懐中電灯を手に、単独で坑道の点検を始めます。同じ頃、アレックスは、一緒にいた同僚に、父親からロドリゴの整備工場へ転職するよう言われている事を打ち明けていました。また、カルロスが、マリオ・ゴメスから仕事を教わっていると、「ボリビア人は盗人だ。彼はバカだ。」と、カルロスをからかうエルヴィスの声が聞こえてきます。カルロスは、さすがに憤り、チリが1881年の戦争でこの土地を手に入れた事実を口にします。



その時、作業現場の奥の方で、地割れのような音がし始め、大きな岩が落ちてきます。「逃げろ!早く!」照明は点滅を繰り返し、棚からは様々なものが落ちてきます。ルチョは、この鉱山で崩落が始まったのだと判断し、坑道の点検を打ち切って、仲間たちの元へ向かい、避難を命じます。一同は、全速力で走り、次々に車に飛び乗ります。車は、坑道の出口へ向かおうとしますが、出口が崩れてしまい、急遽、地下700mにある避難所へ向かいます。車が通った後の坑道は、岩や土砂によって塞がれていき、車に乗った者は皆、無事に避難所に辿り着ける事を祈っていました。しかし、そんな祈りも空しく、車は巨大な岩壁に衝突。鉱山は、完全に崩落してしまいます。しかし、これは、地下700mの場所に、69日間も閉じ込められた男たちの物語のほんの序章に過ぎませんでした…。



この映画は、2016年に、東海地方を中心に展開するシネコン・コロナシネマワールドで開催された、日本未公開作品を紹介する企画「メ~シネマ」にて上映されたものです。メガホンを取ったのは、メキシコ出身のパトリシア・リゲン監督。他の監督作品に、「ママと私のグローイング・プラン」(2012年)、「天国からの奇跡」(2016年)があります。



南米・チリでこの崩落事故が発生したのは、今からちょうど10年前の2010年。当時、奇跡の生還の瞬間や、生還した人たちのプライベートでの面白いエピソードが大々的に報じられていた記憶があります。しかし、彼らの上司・カスティージョが「この鉱山は、金をたくさん採掘できる場所だから。」と、金でぼろ儲けする事しか考えず、現場の安全管理にからっきし興味がなかったのは、全く知りませんでした。当時のマスコミは、野次馬のような感覚でいるのではなく、カスティージョの危機意識のなさを大々的に報じるべきだったのではないかと思いました。私は、崩落事故の根本的な原因をきちんと描いたこの映画に、誠意を感じました。



この後、地下700mの場所にある避難所に到着した33人の作業員たちの、69日間にわたる過酷な日々が始まります。避難所には、作業員30人分の備蓄がありますが、わずか3日分しかありません。2日目には、彼らの家族が大勢駆けつけ、作業員たちが無事に救助される事を祈り続ける日々が始まります。また、同じ日に、チリ政府からも、就任してわずか4か月の鉱業大臣・ゴルボルン(ロドリゴ・サントロ)が現場に駆けつけますが、現場に到着して早々、一部の家族から「対応が遅い。」と、平手打ちを喰らいます。鉱山に閉じ込められた本人たちは勿論、突然の出来事に動揺していますが、家族は、本人たちの何十倍も、何百倍も動揺しています。激しく動揺する家族の様子は、家族に対する愛情が特に深い南米の人々の気質をよく表しているように思いました。作業員たち、そして、彼らの家族たちの気持ちは、この69日間、どのように変遷を辿り、あの瞬間を迎えたのでしょうか?

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