LION/ライオン~25年目のただいま~(2016年 オーストラリア)

LION/ライオン ~25年目のただいま~ [DVD] - デヴ・パテル, ニコール・キッドマン, ルーニー・マーラ, デヴィッド・ウェンハム, サニー・パワール, アビシェーク・バラト, ディープティ・ナバル, プリヤンカ・ボセ, ガース・デイヴィス
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1986年、インド中央部のマディヤ・プラデーシュ州・カンドワ。5歳になるインド人の少年・サルー(サニー・パワール)は、兄・グドゥ(アビシェーク・バラト)と共に、大量の石炭を積んだ貨物列車に飛び乗りますが、すぐに一人の男性警察官に見つかってしまいます。グドゥは、余裕の笑みを浮かべて石炭の山の上に上り、石炭を密かに手に入れます。一方、サルーも、グドゥほどではありませんが、ある程度の量の石炭を密かに手に入れて、貨物列車から降り、グドゥが戻ってくるのを待ちます。そして、グドゥと合流すると、2人で市場へ向かい、牛乳を手に入れるのでした。

2人が帰宅すると、母・カムラ(プリヤンカ・ボセ)が2人の帰りを待っていました。カムラは、2人から牛乳を受け取ると、どこで手に入れたのかを尋ねます。しかし、2人はただ黙々と牛乳を飲むだけ。カムラの表情は次第に曇っていきました。そして、2人に妹・シェキラの世話を頼むと、仕事に出掛けていきました。翌朝になると、今度は、グドゥが、1週間後に帰宅するつもりで、一人で仕事を探しに出掛けようとします。サルーは、寂しくて、グドゥについて行こうとしますが、拒まれてしまいます。グドゥが求める仕事は、高い収入が期待できる正真正銘の力仕事。いくらサルーがついて行きたくても、サルーのような僅か5歳の子どもに、同じ力を求めるのは酷です。しかし、サルーは、口でただアピールするだけでなく、「力はあるよ。」と、家の前に置いてある大人用の椅子や自転車を次々に持ち上げます。結局、グドゥは、サルーに根負けしてしまいました。

グドゥは、サルーを自転車のハンドル付近に座らせ、自転車で仕事を探しに出掛けます。途中、2人は列車に乗り換えるのですが、その間に、サルーはウトウトと眠ってしまます。やがて、列車が終点に到着すると、グドゥは、眠ったままのサルーを抱きかかえ、列車を降ります。グドゥは、駅のホームで、サルーを起こそうとしますが、なかなか目を覚ましてくれません。しかし、グドゥがサルーを起こすのを諦め、駅を出ようとすると、一人残されたサルーはようやく目を覚まします。サルーは、グドゥの背中を見つけ、「揚げ菓子を買ってきて。2000個だよ。」と、頼み、再び眠りに就きます。その後、サルーが目を覚ますと、駅のホームには誰もいませんでした。サルーは、起き上がり、グドゥを探し始めます。しかし、そこに、グドゥの姿はありませんでした。サルーは、迷子になってしまいました。

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翌日、サルーは、走行中の回送列車の中で目を覚まします。サルーは、自分以外の乗客が一人も乗っていない事に驚き、パニックになります。「(電車から)出して!」、「兄ちゃん!」、「誰か!」、「助けて!」サルーは、あれこれ叫びますが、誰も来てくれません。やがて、列車は、町を出て、山間地へと入っていきます。「母ちゃん、大好きだよ。」、「兄ちゃんに会いたい。」サルーは、家族に会いたいという気持ちを募らせていきます。その後、列車は、ほとんど人気のない駅に停車します。駅の傍には、サルーより少し年上の少年が座り込んでいました。サルーは、少年に助けを求めますが、少年は、何も言わず、ただ、サルーをじっと見つめるだけ。同じ駅のホームで立っていた女性たちも、サルーをただ見つめるだけでした。

その後、サルーが乗った回送列車は、カンドワから東へ1600キロの距離にある、西ベンガルのカルカッタに到着します。サルーは、駅のホームが大勢の乗客でごった返しているのに気付き、再び助けを求めます。すると、今度は、それまで閉まっていた列車の扉の鍵が開けられ、乗客たちが一斉に乗り込みます。サルーは、人込みをかき分けて、どうにか列車を降りる事ができました。サルーは、物凄い人込みの中で、駅舎の大きな窓の枠によじ登り、「兄ちゃん!」、「母ちゃん!」と、何度も叫びました。しかし、母・カムラも、兄・グドゥも、姿を現しませんでした。

LION /ライオン 25年目のただいま(吹替版) - デヴ・パテル, ニコール・キッドマン, ルーニー・マーラ, デヴィッド・ウェンハム, サニー・パワール, アビシェーク・バラト, ディープティ・ナバル, プリヤンカ・ボセ, ガース・デイヴィス, ルーク・デイヴィス
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サルーは、カムラやグドゥに会うのを諦め、たった一人でカンドワに戻る事にします。しかし、帰りの列車の切符を買うには、駅の窓口へ行って、まだ習得していないベンガル語で職員に話し掛けなければなりません。普段、ヒンディー語を使うサルーは、切符を1枚買うのに悪戦苦闘し、その間に、後ろに並んでいた人々に、どんどん順番を追い抜かれていきます。サルーは、切符を買うのを断念し、駅の構内を彷徨い歩きます。水道の蛇口をひねって、水を飲み、足早に歩く乗客たちとすれ違うサルー。やがて、サルーは、住む家のない子どもたちが寝起きしている通路に出ます。サルーは、しばらくの間、子どもたちを見つめ、そして、彼らの隣に近付いて、横になります。

しかし、その直後、子どもたちの元に、何人かの屈強な男性が現れ、子どもたちを一人ずつ強引に抱きかかえます。それを見た他の子どもたちは、悲鳴を上げて、逃げ回ります。サルーも、男性たちに捕まりたくなくて、必死になって走り続け、どうにか駅舎から脱出する事ができました。サルーは、街を彷徨い歩き、寺院に辿り着いて、眠りに就いたのでした。

LION /ライオン 25年目のただいま(字幕版) - デヴ・パテル, ニコール・キッドマン, ルーニー・マーラ, デヴィッド・ウェンハム, サニー・パワール, アビシェーク・バラト, ディープティ・ナバル, プリヤンカ・ボセ, ガース・デイヴィス, ルーク・デイヴィス
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翌日、サルーは、寺院を離れ、再び、街を彷徨い歩きます。大河の景色を眺め、駅舎に戻って、横になっていた場所に置いたままの段ボール板を片付け、鉄道の線路の上に乗って、カンドワを目指して歩き始めました。その途中、線路の上を歩き続けるサルーに向かって、「危ないわよ。」と、声を掛ける一人の女性がいました。女性の名は、ヌーレ(タニシュタ・チャテルジー)。ヌーレは、サルーに「お腹空いてる?」と、尋ねます。すると、サルーは何度も頷きました。ヌーレは、食事を提供するために、サルーを自宅に招きます。

ヌーレは、サルーに食事を提供するだけでなく、体も洗ってあげました。そして、サルーに、ラーマ(ナワーズッディーン・シッディーキー)という、人助けが好きな知り合いの存在を明かします。ラーマは、明日にもヌーレを訪ねてくる予定で、ヌーレは、ラーマに協力してもらいながら母親を探す事を、サルーに勧めます。翌朝、ラーマがヌーレを訪ねてきました。ラーマは、サルーが眠っている部屋に向かい、サルーを起こします。ラーマは、サルーが横になっているベッドに近付いて、サルーの隣で横になり、こう言いました。「一緒に、いい所に行こう。」サルーは、子どもながらに嫌な予感がして、ヌーレの自宅を飛び出し、走り出しました。ヌーレは、サルーが飛び出した事にすぐに気付き、激怒。サルーの名を何度も呼ぶのでした。

25年目の「ただいま」 - サルー・ブライアリー, 舩山 むつみ
25年目の「ただいま」 - サルー・ブライアリー, 舩山 むつみ

その後、サルーは、警察に保護されました。しかし、カルカッタの駅と同様に、警察でも、ヒンディー語が通じませんでした。これでは、サルーがどこから来たのか、サルーが口にするガネストレイがどこにあるのかが、いつまでも分からないまま。結局、サルーは、孤児院で暮らす事になりました。老朽化がかなり進んでいる建物の中で、多過ぎると言っても過言ではないような数の子どもたちが暮らし、子どもたちが職員の言う事に逆らえば、厳しい体罰が待ち受けていました。そのため、子どもたちの中には、孤児院を抜け出す子もいました。

そんなある日、サルーは、孤児院を訪ねてきたミセス・スード(ディープティ・ナバル)に呼ばれます。ミセス・スードは、孤児院で暮らす子どもたちに養子縁組の機会を提供するのが仕事で、実は、サルーの家がどこなのかを以前から調べていました。ミセス・スードは、新聞にサルーの事を何度も載せてもらいましたが、手掛かりはありませんでした。なぜなら、その新聞は、カルカッタでしか読まれていなかったからです。そして、ミセス・スードは、サルーと養子縁組をしたいという夫婦がオーストラリアのタスマニア州にいる事を伝えます。ミセス・スードは、その夫婦の名を教えてくれました。夫婦の名は、ジョン(デヴィッド・ウェンハム)と、スー(ニコール・キッドマン)。サルーは、ミセス・スードの「ここ(孤児院)にいては、だめよ。」という言葉に背中を押されて、オーストラリアに渡る決意をします。



1987年、サルーは、ミセス・スードから英語やテーブルマナーを学んだ上で、ミセス・スードの仕事を手伝う女性・スワルミナに付き添われて、オーストラリア・タスマニア州の州都・ホバートに渡ります。サルーは、空港に着いてすぐに、ジョンやスーと対面しました。スーは、にこやかな笑顔を見せ、ジョンはコアラの縫いぐるみをサルーにプレゼントしました。ジョンとスーは、初めて対面したこの日から、サルーを本当の息子のようにかわいがりました。食事中にサルーが覚えたての英語を披露すると、2人共、心の底からサルーの努力ぶりを喜び、入浴の際は、スーが実に嬉しそうにサルーを見つめていました。

1年後には、親子3人でセーリングに出掛けて、クリケットを楽しみました。サルーは、健やかに育ち、ジョンを「パパ」、スーを「ママ」と、呼ぶようになっていました。さらに、ジョンとスーは、サルーと同じインド人である少年・マントッシュを2人目の養子に迎えました。しかし、マントッシュは、空港で初めて対面した時から表情が暗く、ジョンたちが暮らす自宅に着くと、大声を上げて暴れました。ジョンも、スーも、マントッシュの怒りと真正面から向き合い、マントッシュの気持ちが落ち着くまで、とにかくマントッシュを抱きしめ続けました。その日の夜、マントッシュを心配し、涙をこぼすスーの姿を見たサルーは、スーに近付き、抱きつきます。スーは、サルーに「心配しないで。」と、言って、サルーを安心させるのでした。



20年後、サルー(デヴ・パデル)は、メルボルンの大学に合格し、ホテル経営学を専攻する事が決まっていました。ある日、サルーは、ジョン、スーと一緒に、自身の大学の合格の記念に、レストランで食事をしていました。しかし、マントッシュ(ディヴィアン・ラドワ)だけは、レストランに来ていませんでした。この頃、マントッシュは、既に、ジョンやスーの元から巣立っていましたが、それはあくまで心の距離を取るためでした。マントッシュは、オーストラリアに渡って20年の歳月が流れてもなお、心を閉ざしたままで、まだ進路を決めていませんでした。サルーは、マントッシュの親不孝ぶりに憤りを感じていました。

その後、サルーは、メルボルンの大学に入学しました。ある日、サルーは、ディスカッション形式の授業で、自身のルーツについて尋ねられます。サルーは、カルカッタの出身である事を口にしましたが、実は、インドからオーストラリアに渡る前の記憶は、ほぼ皆無でした。数日後、サルーは、大学の同級生が主催するホームパーティーに招かれます。そこでは、インド料理がテーブルに並んでいましたが、サルーは、インド料理の作法をすっかり忘れていました。一方、インド以外の国からの留学生たちもこのホームパーティーに招かれていましたが、彼らは、当然の事ながら、自国の言葉や作法についてスラスラと説明していました。サルーは、彼らのように、自国について何も説明ができない自分にもどかしさを感じます。そんな時、サルーは、キッチンで懐かしい食べ物と再会します。それは、インドにいた時代に、兄・グドゥに、2000個買ってほしいと頼んだ、あの揚げ菓子でした。サルーは、懐かしさのあまり、こっそりと一口食べます。サルーと同じディスカッション形式の授業に出席していた学生の一人・ルーシー(ルーニー・マーラ)は、そんなサルーを目撃し、近付きます。「大丈夫?」ルーシーがサルーに尋ねると、サルーは、こう答えました。「カルカッタじゃない。僕は迷子だ。」この告白がきっかけで、サルーは、自身のルーツを辿る事になるのです…。



この映画は実話で、サルー本人が執筆した「25年目の『ただいま』 5歳で迷子になった僕と家族の物語」が原作です。「英国王のスピーチ」(2010年)でプロデューサーを務めたエミール・シャーマンとイアン・カニングが、原作を読み、すぐに非常に力強い長編映画になると確信したそうです。2013年、シャーマンとカニングは、オーストラリア出身で、テレビシリーズ「トップ・オブ・ザ・レイク~消えた少女~」(2013年)でエミー賞にノミネートされたガース・デイヴィス監督にオファー。この頃、既に父親になっていたデイヴィス監督は、この映画自体が力強くなると確信し、監督を引き受けました。因みに、ディヴィス監督は、この映画で、長編映画デビューを飾りました。



主人公・サルーを演じたのは、「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)のデヴ・パデル。パデルは、シャーマン、カニング、ディヴィス監督へのアピール、サルー本人に近付くための肉体改造、オーストラリア英語の話し方の勉強など、とにかく、この映画に対する熱意が凄かったそうです。ただ、この映画のエンドロールにサルー本人が登場するので分かる事なのですが、サルー本人とは体格が全く違いました。本人に近付く役作りとは、見た目も、話し方も、気持ちの持ち方も、本人にそっくりになる事です。本人とは全く違うイケメンになる事ではありません。



他に印象に残ったのは、ジョンを演じたデヴィッド・ウェンハムと、スーを演じたニコール・キッドマン。2人共、サルーと初めて対面したその日からずっと、懐の深さを強く印象付けていました。空港で初めてサルーと対面した時は、物凄く穏やかな笑顔を絶やさなかったですし、初めて3人で食卓を囲んだ時も、サルーの覚えたての英語を心の底から褒めていましたし、また、マントッシュを2人目の養子として迎えてすぐに、マントッシュがパニック状態になった時も、マントッシュに寄り添い、ただただ彼の心が落ち着くのを願っていました。



さて、物語の後半では、サルーがいよいよ自身のルーツを探っていきます。手掛かりは、インドで暮らしていた時代のかすかな記憶。サルーは、それを頼りに、なんと、Google Earthの力を借りて、かつて暮らしていた家の場所を調べます。後半の見どころは、サルーの心の葛藤です。いくらスーが温厚な性格でも、サルーがかつて住んでいた家を見つけて、実の母・カムラや兄・グドゥに会いに行くと、スーは心中穏やかではなくなるのではないか。しかし、一度はインドに戻らないと、カムラやグドゥは、サルーがオーストラリアで暮らしている事を知らずに、苦しみ続けてしまう。サルーは、これら2つの想いの間で揺れ続けます。果たして、サルーはどのような結論を出すのでしょうか。そして、サルーがその先に見た景色とは何でしょうか。

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