エタニティ 永遠の花たちへ(2016年 フランス・ベルギー)

エタニティ 永遠の花たちへ [DVD] - オドレイ・トトゥ, メラニー・ロラン, ベレニス・ベジョ, ジェレミー・レニエ, ピエール・ドゥラドンシャン, トラン・アン・ユン
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19世紀末のフランス。あるブルジョワジー(中産階級)の夫婦は、5人の娘に恵まれました。5人のうち、2人は幼くして他界しましたが、エレーヌ、アンリエット、ヴァランティーヌ(オドレイ・トトゥ)の3人は、無事に成長し、結婚しました。ヴァランティーヌがジュールと婚約したのは、17歳の時でした。この婚約は、ブルジョワジーらしく、親によって決められたものでした。しかし、ヴァランティーヌは、考えに考えた末に、婚約を解消しました。ジュールは、ヴァランティーヌの事を真剣に愛してきたが故に、どうしても諦められませんでした。ヴァランティーヌは、この時、初めてジュールに心を動かされ、結婚を決意したのでした。

エタニティ 永遠の花たちへ Blu-ray - オドレイ・トトゥ, トラン・アン・ユン
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結婚後、ヴァランティーヌとジュールの愛は、日に日に深まっていきました。やがて、2人の間に、双子の男児が誕生します。2人とも腕白でしたが、ヴァランティーヌは2人とのスキンシップによって親子の絆を深め、ジュールも2人の前でアコースティックギターを弾く事で、親子の時間を大切にしました。その後、2人に続いて、三男のアドリアンが誕生します。アドリアンは、2人とは正反対に、大人しくて従順な性格でした。ヴァランティーヌは、息子が3人も誕生したため、娘を望むようになります。ヴァランティーヌの望みは、すぐに叶いました。長女・マルゴが誕生したのです。マルゴという名の由来は、ジュールの祖母の名前。待望の娘の誕生に、ヴァランティーヌは大いに喜び、とりわけ深い愛情を注ぎました。その後も、夫婦の幸せは続き、次女・エリザベットが誕生しました。

エタニティ 永遠の花たちへ(字幕版) - オドレイ・トトゥ, メラニー・ロラン, ベレニス・ベジョ, ジェレミー・レニエ, ピエール・ドゥラドンシャン, イレーヌ・ジャコブ, トラン・ヌー・イェン・ケー, トラン・アン・ユン, クリストフ・ロシニョン, フィリップ・ボエファール
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しかし、数年後、そんな幸せに陰りが見え始めます。7番目の子として誕生した三女・エティエンヌが、誕生からわずか数時間後に亡くなったのです。エティエンヌのわずか数時間の人生の中で、母親であるヴァランティーヌができたのは、胸元で抱いてあげる事だけでした。ジュールは、ヴァランティーヌを抱きしめ、背中をさすりながら、「また、子どもを産めばいい。」と励ましますが、ヴァランティーヌの耳には、男本位の台詞にしか聞こえませんでした。



やがて、ヴァランティーヌは五男・ピエールを出産しますが、それからわずか1年後に、ジュールが突然亡くなります。ヴァランティーヌとジュールの結婚生活は、20年で幕を閉じました。ジュールの死後、第一次世界大戦が始まり、双子の息子たちが出征します。留守を預かる事になった家族は皆、「無事に帰ってきてほしい。」と願っていましたが、2人とも戦場に散ってしまいました。ヴァランティーヌは、自室で、2人の戦死を知らせる手紙を読み、酷く憔悴します。しかし、マルゴとエリザベットが仲良くしている姿を毎日のように見る事によって、次第に笑顔を取り戻していきます。しかし、ヴァランティーヌが笑顔を取り戻したのも束の間、今度は、エリザベットが病で亡くなります。ヴァランティーヌは、たった一人でエリザベットの最期を看取り、その日の晩は、枕元を離れませんでした。この時、ヴァランティーヌは、ある事を悟りました。人生とは、死者を見送る事なのだと。



次から次へとかけがえのない家族を亡くしたヴァランティーヌでしたが、そんな彼女に、久々に幸せが訪れます。四男・アンリ(ジェレミー・レニエ)が、幼馴染みのマチルド(メラニー・ロラン)との結婚を決意したのです。ヴァランティーヌは、アンリの結婚相手が、昔からよく知るマチルドだと知った時、実に穏やかな表情を浮かべました。しかし、そんな矢先に、ヴァランティーヌにとって悲しい別れの時が訪れます。マルゴが、エリザベットの死を機に、生まれ育った屋敷を離れ、修道院に入ったのです。ヴァランティーヌにとって、マルゴの揺るぎない決意を受け入れるのは、非常に困難な事でした。なぜなら、マルゴが修道女になるという事は、マルゴが母親にならない選択をした事を意味し、母から娘へと続く血筋が絶えてしまうためでした。



マルゴが屋敷を離れた後、アンリとマチルドが教会で結婚式を挙げます。ヴァランティーヌは、神父の前に並ぶ2人を見て、マルゴが女性の幸せを自ら放棄した事を思い出します。ヴァランティーヌがそんな事を考えていたのを知る由もなかったアンリとマチルドは、新婚生活を始めます。2人の新居には、近所に住むマチルドの従姉妹・ガブリエル(ベレニス・ベジョ)と夫のシャルル(ピエール・ドュラドンシャン)がしばしば訪れ、賑やかな時間を過ごしていました。ガブリエルとシャルルの結婚は、例に漏れず親が決めたものでしたが、当人同士は、いざ結婚してみると幸せそのものでした。やがて、ガブリエルとシャルルとの間に、長女・ソランジュが生まれます。その後、マチルドとアンリとの間にも、ジョゼフ、ジャン、ジュール、ニコラ、アンドレと、5人の息子が生まれますが、その後、マチルドが、2度目の流産という、非常に悲しい経験をします。マチルドは、知らせを聞きつけ、駆けつけてくれたガブリエルと抱き合い、しばらくの間むせび泣くのでした。1年後、悲しみに暮れていた2人の間に、待望の長女が生まれます。長女は、ルイーズと名付けられました。



一方、ガブリエルとシャルルとの間にも、長男・フランソワが生まれます。しかし、フランソワは、幼くして髄膜炎を患い、亡くなります。フランソワが亡くなる数時間前、ガブリエルは、ベッドで静かに横たわるフランソワの傍を離れず、ずっと見守っていましたが、残念ながら、その努力が報われる事はなかったのです。フランソワの死後、ガブリエルは、我が子の命を守られなかった責任を感じ、遠くまで響き渡るくらいに大きな声で泣き続けるのでした。1年後、修道女となっていたマルゴも、同じく髄膜炎で亡くなります。マルゴは、修道女となった後、残りの人生を神に捧げ、ヴァランティーヌと会う事は二度とありませんでした。



フランソワの死後、ガブリエルとシャルルは、マチルド、アンリらと一緒に、海水浴に出掛けます。ガブリエルが砂浜で休んでいる間に、シャルルは海に入って泳ぎ始めます。しばらくして、ガブリエルが目を覚ますと、シャルルの姿が見当たりません。ガブリエルは、まさかと思い、沖の方を見てみました。その時、ガブリエルは、もう二度とシャルルに会えない事を悟り、両手で口元を覆うのでした。シャルルの死後、マチルドも、アンリも、悲しみが癒えるまで、できる限りガブリエルに寄り添い続けました。



その後、マチルドとアンリの間に、六男・ジェロームと七男・クリスチャンが生まれます。その後、マチルドは、40歳を前にして妊娠します。マチルドは、ルイーズと一緒に、女の子が誕生する事を望みました。しかし、残念な事に、マチルドは流産します。マチルドが身も心も落ち着いてきた頃、ガブリエルは、マチルドの年齢を理由に、「もう、マチルドが妊娠できる可能性は、あまり高くないのではないか。」と考えていました。しかし、マチルドとルイーズは、いつか女の子が生まれると固く信じていました。しかも、もし無事に生まれたら、マリーと名付けるのだと決めていました。なぜなら、この時、マチルドは既に再び妊娠しており、自身の命と引き換えに産む決意をしていたからでした…。



この映画のポイントは、何といっても、映像とBGMの両方がこの上なく美しい事です。静寂感あふれる屋敷や庭園、調度品などが、BGMのピアノやアコースティックギターの音色と実に美しく融合しているので、無言で映像に見入ってしまい、この映画の世界にスーッと引き込まれていくのを感じました。さぞや、ブルジョワジーの知識が豊富なフランス人監督がメガホンを取ったのかと思いきや、実は、そうではありませんでした。メガホンを取ったのは、トラン・アン・ユン監督。ベトナム出身で、1975年に、ベトナム戦争から逃れるために、両親や弟と一緒にフランスに移住しました。代表作に、「青いパパイヤの香り」(1993年)、「夏至」(2000年)、「ノルウェイの森」(2010年)などがあります。



ナレーションを務めたのは、トラン・ヌー・イェン・ケー。トラン・アン・ユン監督の公私にわたるパートナーです。「青いパパイヤの香り」(1993年)では、出演の他に美術を担当。「シクロ」(1995年)では、出演の他にセット・デザインを担当し、「ノルウェイの森」(2010年)では、プロダクション・デザインと衣装デザインを担当しました。トラン・アン・ユン監督との信頼関係の深さがよく分かりますね。



キャストの中で注目したいのは、ヴァランティーヌを演じたオドレイ・トトゥ。「アメリ」(2001年)に主演した、非常に有名な女優です。今回、トトゥは、ジュールと婚約した17歳の時から、なんと、たくさんの子や孫に恵まれた老年期までを見事に演じています。トトゥは40歳でこの映画に出演したのですが、17歳を演じた時は、無理して若作りしたような痛々しさが一切なく、純粋に可憐な少女に見えましたし、老年期を演じた時も、背骨の曲がり具合や顔の表情が至って自然で、どちらも、全くもって違和感がありませんでした。



結婚、夫婦2人きりの幸せに満ちた時間、子どもの誕生、親子で過ごす何気ないひと時、夫の死、子どもの死など、人生で経験する幸せも悲しみも非常に丁寧に描かれているこの映画。この後、マチルドの命をかけた出産が、物語のターニングポイントとなります。この出来事は、登場人物にどのような影響を与えていくのでしょうか。ぜひ、この映画をラストシーンまでご覧になって、余韻を楽しんでいただきたいです。

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