トラッシュ!-この街が輝く日まで-(2014年 イギリス・ブラジル)

トラッシュ!-この街が輝く日まで- [DVD]
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ブラジル・リオデジャネイロ。貧困家庭で暮らす14歳の少年・ラファエル(リックソン・テベス)が、体を震わせながら銃を構えています。彼の耳には、別の少年たちの声で残酷な命令が聞こえてきます。「ラファエル、殺せ。」、「撃つんだ、やれ!」ラファエルは、最悪の事態に備えて、ビデオメッセージを制作していました。「このビデオを見てるなら、僕は殺されている。」実は、ラファエルは、訳あって、警察に追われていました。たまたま自身が拾った財布が、警察が介入しなければならないような非常に重要な意味を持つものだったからです。それを拾って以来、まだ14歳のラファエルの人生は、狂わされてしまいました。ラファエルは、ある使命を担っていました。「ジョゼ・アンジェロの望みを果たす。」ジョゼ・アンジェロの望みを果たすとは、一体どういう事なのでしょうか。

トラッシュ!-この街が輝く日まで- [Blu-ray]
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リオデジャネイロ市内のとある墓地では、1基の小さな棺が墓石の中に収められようとしています。亡くなったのは、ピア・アンジェロ(マリア・エドゥアルダ)。ピアは、まだわずか9歳の少女でした。ある日、ピアの父親が、ピアの墓参りのため、墓地を訪れます。父親の名前は、ジョゼ・アンジェロ(バグネル・モーラ)。ラファエルが「望みを果たす」と、使命感を口にしていた、あのジョゼ・アンジェロです。ジョゼは、首からかけていた十字架のネックレスを外し、キスをすると、墓にそっと置いて、去っていきます。その後、ジョゼがアパートに帰宅し、荷物の整理をしていると、そこへ銃を構えた警察官が大勢押しかけてきます。ジョゼは、彼らが突入する前に、荷物を詰めたカバンを持って、窓から外に出ます。ジョゼは外壁にある下水管に捕まって地上に降り、物凄いスピードで走って逃げます。しかし、警察官の足は速く、ジョゼは間もなく警察官に追い付かれます。そして、警察官による銃の発砲で左脚を負傷します。ジョゼは、持っていたカバンを、ちょうどすぐそばに駐車していたゴミ収集車に思いっきり投げ入れ、その後、警察官から容赦なく殴られたり、蹴られたりするのでした。

トラッシュ!-この街が輝く日まで- (吹替版)
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カバンが投げ入れられたゴミ収集車が指定の廃棄場所に到着すると、大勢の少年が集まってきます。ゴミ収集車が運んできたゴミが一気に地面に落とされると、少年たちは、無我夢中で拾い始めます。少年たちの中には、14歳のアフリカ系の少年・ガルド(エデュアルド・ルイス)、そして、ラファエルの姿もありました。1日を過ごすのに大変な苦労を強いられる彼らにとって、ゴミとして処分されるものは、貴重な収入源なのです。この日、ラファエルは、ゴミの中にあった財布を拾います。ラファエルは、中から紙幣を何枚か取り出すと、ガルドに渡します。さらに、身分証明書が入っているのを見つけ、それを取り出します。身分証明書には、「ジョゼ・アンジェロ」と名前が記されており、顔写真や指紋の写真も貼ってありました。

トラッシュ!-この街が輝く日まで- (字幕版)
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一方、ジョゼは、逮捕され、厳しい取り調べを受けて、血まみれになっていました。ジョゼの逮捕を誰よりも望んでいたのは、市長選挙に出馬中のサントス議員(ステパン・ネーセシアン)でした。サントス議員は、ジョゼの口からお金や帳簿の在り処を吐かせようと必死になっていました。「金の在り処も、帳簿の在り処も、ジョゼの財布の中に間違いない。」と、何の根拠もないのに、なぜか確信を得たような気になっていたのです。しかし、ジョゼは、取り調べが行き過ぎたせいで、命を落としてしまいます。

トラッシュ!-この街が輝く日まで- ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
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ラファエルがゴミの廃棄場所から帰宅すると、アメリカ人ボランティアスタッフのオリヴィア(ルーニー・マーラ)が、子どもたちを相手に英語のレッスンをしていました。ラファエルは、ジョゼと一緒に、近くの川へ泳ぎに行きます。すると、地元警察の男性刑事・フェデリコ(セルトン・メロ)が訪ねてきます。フェデリコは、ジョゼが持っていた財布を探しにやって来たのです。フェデリコは、ラファエルやガルドに名前や年齢を尋ね、翌日もゴミの廃棄場所に来るかどうかをガルドに確かめると、翌日も取り調べを行う旨を伝えて、去っていきます。



翌日、ラファエルは、ガルド、ゴミの廃棄場所の近くを通る下水管の中で暮らすラット(ガブリエル・ウェインスタイン)と、行動を共にしていました。3人で電車に無賃乗車し、電車が停車した駅のホームとは反対側からこっそり下車すると、誰もいない真っ暗な通路を通り、駅のコインロッカーの前まで来ます。ジョゼは、このコインロッカーに何かを入れ、鍵を閉めていたようなのです。しかし、コインロッカーの周りでは大勢の警察官が警備にあたっていて、3人は簡単に通路を脱出する訳にはいきません。しばらくすると、ガルドは、妙案を思い付き、いきなり通路を脱出します。そして、通りすがりの女性からわざとカバンをひったくり、コインロッカーの警備にあたっていた警察官の気を引く事に成功したのです。その間、ラファエルとラットは、警察官がいなくなったコインロッカーに近付き、ラットが、ジョゼの財布に入っていたコインロッカーの鍵を使って、扉を開きます。扉の奥から出てきたのは、1通の封書でした。封書の宛先は、ジョゼの伯父で、コルヴァ刑務所に収監されているジョアン・クレメンチ受刑者(ホセ・デュモン)でした。ジョアンは、弁護士であり、貧困家庭用に住宅を建てた活動家でもありました。封筒の中には、便箋、そして、ジョゼがピアと一緒に映っている写真が入っていました。



一方、ゴミの廃棄場所には、フェデリコや警察官の姿がありました。彼らは、ここに出入りしている少年に声をかけ、ジョゼの財布を探させていました。しかし、この場所はとても広く、財布が見つかるまでどうしても時間がかかってしまいます。フェデリコは、前日に会ったばかりのラファエルやガルドがここにいるかどうかを少年に尋ねますが、2人共、来ていませんでした。その頃、ラファエル、ガルド、ラットの3人は、封書の宛先になっているジョアンについて、インターネットで調べていました。その結果、ジョアンは、連続殺人鬼と呼ばれ、ジョゼが被害者の遺体を埋める手伝いをしていたという情報が見つかります。



その日の夜、ラファエルとガルドは外を歩いていました。その途中、ガルドは、持参していた小型ゲーム機のゲームに夢中になってしまいます。その間、1台のパトカーが停車し、乗車していた警察官がラファエルを見つけると、パトカーを降りて、ラファエルを強引に連れて行きます。ガルドは、ゲームに夢中なあまり、なかなかこの緊急事態に気付きません。ガルドは、ゲーム機の画面を見つめたまま、ラファエルに向かって「見ろ。俺の勝ちだ。」と、声を掛けますが、勿論、返事はありません。「ガルド、助けて。」ガルドは、パトカーの中から聞こえてくるラファエルの叫び声に気付いた事で、ようやくラファエルの身に起きた異変に気付き、大急ぎでパトカーに向かいますが、残念ながら、間に合いませんでした。ガルドは、近くの教会のジュリアード神父(マーティン・シーン)に助けを求めます…。



この後、ラファエルを乗せたパトカーは人気のない場所に着きます。パトカーの外には、あのフェデリコが立っていました。「俺を甘く見ていたようだな。」ラファエルは、厚みのある袋を頭に被せられ、再びパトカーに乗せられると、シートベルトを着用させてもらえない状態で、100キロを優に超えるスピードで、パトカーごと何度もグルグルと回転させられます。この間、ラファエルの頭は、何度も窓ガラスにぶつかり、流れ出た血で真っ赤に染まります。右の瞼は、眼球がほとんど見えないくらいに腫れてしまいます。フェデリコがこのような行動を取っている理由は、ラファエルを力づくで自白させるためです。「ラファエルは、ジョアンやジョゼと結託しているに違いない。」と確信を持っており、ラファエルを自白させられる自信があったのです。当然、ラファエルは何の罪も犯しておらず、たまたまジョゼの財布を拾っただけなのですが、フェデリコの思い込みが相当激しいが故にラファエルが仕方なく嘘の自白をしても、全く信じようとはせず、さらに暴力を振るい続けます。



一方、ラファエルの行方を知らないジュリアード神父は、比較的早い段階で、警察がラファエルを殺めたのではないかと心配し始めます。ブラジル国内に、子どもたちがこうやって命を落とすのが日常茶飯事になっている一部の都市があるのかと思うと、恐ろしくて仕方がありません。ジュリアード神父がこんなにも早い段階でラファエルの死を予感するのは、まさに極端な治安の悪さを表現しているなあと思いました。フェデリコは、犯罪率が高い都市である故に、大人だけでなく、子どもも信じられなくなってしまっているのでしょうか。いいえ、そうではありません。実は、フェデリコには、ラファエルに暴力を振るった後、ある人物に一部始終を報告する義務がありました。報告をする相手とは、自身の上司ではなく、なんと、サントス議員でした。



監督は、「リトル・ダンサー」(2000年)、「めぐりあう時間たち」(2002年)、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年)のスティーヴン・ダルドリー。脚本は、「ノッティングヒルの恋人」(1999年)、「ラブ・アクチュアリー」(2003年)、「アバウト・タイム 愛おしい時間について」(2013年)のリチャード・カーティスです。イギリス出身のダルドリーと、ニュージーランド出身で、イギリスを拠点に活動しているカーティスの名前を聞くと、この映画が、ブラジル映画ではなく、イギリスとブラジルの合作映画である事を実感します。非常に気品のあるイギリス映画のように映像が美しいのが特徴なのと、ラファエル役のリックソン・テベス、ガルド役のエデュアルド・ルイス、ラット役のガブリエル・ウェインスタインの3人が、オーディションでキャスティングされた無名の新人であるのも、興味深いです。3人のチームワーク、3人それぞれの瑞々しい演技を観ていると、敢えて新人がキャスティングされた方が、リオデジャネイロの街の息遣いが伝わりやすくていいなあと思いました。

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