マネー・ピット(1986年 アメリカ)

マネー・ピット [DVD]
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ブラジル・リオデジャネイロで、ある年の差カップルの結婚式が行われています。新郎は、白髪のダンディーなアメリカ人弁護士ウォルター・フィールディングSr.(ダグラス・ワトソン)。新婦は、まだ少女の面影があるブラジル人・フロリンダ(ティッチー・アグバヤーニ)。真っ白なサンバの衣装に身を包んだ女性が神父の役割を担い、2人は誓いの言葉を述べます。そして、最後にキスを交わすと、大勢のダンサーが集まり、リズミカルな演奏に合わせて、サンバを踊り始めます。しかし、ウォルターSr.には、一つ残念な事がありました。アメリカ・ニューヨークでロックバンドをクライアントに持つ弁護士で、息子のウォルターJr.(トム・ハンクス)が参列してくれなかったのです。実は、ウォルターSr.は、ある事情で、お金を持ち逃げして、リオデジャネイロに渡りました。残されたウォルターJr.は、ウォルターSr.の後始末をする羽目になり、それ以来、父子は、折り合いが悪いのです。ウォルターJr.は、ニューヨークで派手な暮らしぶりを貫いてきたウォルターSr.を反面教師にして、月並みな男になる事をずっと目指してきました。

MONEY PIT
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無事に結婚式を終えたウォルターSr.は、息子に絵葉書を送りました。絵葉書には、フロリンダとのツーショット写真を載せ、「ニューヨークに戻るつもりはない」とのメッセージを記しました。絵葉書を受け取った息子は、一流の弁護士として有名な自分の父が親子ほど年の離れた女性と生涯を共にする決意をしたのが、どうしてもだらしないように思えて仕方がありませんでした。彼の隣で絵葉書を見ていた、恋人でヴィオラ奏者のアンナ(シェリー・ロング)は、写真に写るフロリンダの顔を「美人よね」と言いながら見つめていましたが、彼は、フロリンダの事をとても良くは思えませんでした。



絵葉書が届いた日の翌日、ウォルターJr.は、アンナにプロポーズします。アンナは、ウォルターJr.を心から愛していました。しかし、アンナが望んでいるのは、あくまで事実婚でした。アンナは、一度離婚した経験があるため、婚姻届に縛られるのではなく、お互いにお互いを愛する気持ちさえあればいいと考えているのです。アンナは、ウォルターJr.との話し合いの末、結局、返事を保留する事にしました。ところが、アンナが返事を保留する決意をしたその瞬間、2人は、今まで聞いた事のない男性の声に気付きます。しかも、男性の数は1人ではありません。一体、何人の男性がこの建物に入ってきたのでしょうか?そして、何の目的で入ってきたのでしょうか?

そして、ついに、1人の男性が大勢の男性を引き連れて、ウォルターJr.とアンナがいる部屋の扉を開けます。大勢の男性が勝手に家財道具を置いていく中で、彼らを引き連れてきた男性はこう言いました。「名指揮者が戻ってくる。」名指揮者とは、アンナの元夫・マックス(アレクサンダー・ゴドノフ)の事。アンナが今から1年前に離婚した際、マックスは演奏旅行のためにヨーロッパへ旅立ち、アンナは、離婚から1年以内に新居を見つける約束で、マックスと暮らしたこのアパートに留まっていました。しかし、新たに、ウォルターJr.と交際するようになり、やがて、このアパートで同棲生活を送るようになりました。しかし、約束の1年が経過しても新居は見つからず、そんな中、マックスが帰国し、ウォルターJr.とアンナ、マックスの3人が、同じ屋根の下で生活しなければならなくなってしまいました。ウォルターJr.は、マックスが戻ってくる前に、自分たちがアパートを出ていく旨を男性に伝え、いったん、男性にアパートを出ていってもらいます。



しかし、ウォルターJr.には、すぐに新居を見つけられる自信がありませんでした。ニューヨークでは、お金持ちにとっても、そうでない人にとっても、住む場所を見つけるのは、とても大変な事。ウォルターJr.たちの場合は、後者です。しかし、ウォルターJr.には伝手がありました。ウォルターJr.の伝手とは、不動産屋で働く友人・ジャック(ジョシュ・モステル)の事。ウォルターJr.は、早速、ジャックに連絡を入れ、会う約束をします。一方、アンナは、所属するオーケストラの練習会場に向かっていました。ちょうど、集合時間ピッタリで練習会場に到着したアンナ。すると、そこへマックスがブロンドの長髪をなびかせて現れます。実は、マックスは、アンナが所属するオーケストラの指揮者。元夫婦が同じ場所にいるという状況に、当事者たちはもちろん、同じオーケストラのメンバーたちも、全く動揺する様子はありません。こうして、オーケストラの練習が静かに始まるのでした。



一方、ウォルターJr.は、指定されたビルの屋上でジャックと会っていました。ジャックは趣味のジョギングで汗を流していました。ジャックは、走りながらこう尋ねます。「金曜の夕方までに20万ドル作れるか?」ウォルターJr.は、「全財産はたけば、昼飯はおごれるかも。」と、答えます。すると、次の瞬間、ジャックが倒れ、救急搬送されてしまいます。幸い、ジャックは、救急車の中で横になると、症状が落ち着きました。実は、ジャックにとって、救急搬送は、この5か月間でなんと7回目。ジャックは、このパターンにすっかり慣れていました。ジャックは、横になったまま、一緒に救急車に乗ってくれたウォルターJr.を相手に商談を始めます。ジャックは、100万ドルもする家を20万ドルで売ろうと考えていました。ジャックが「20万ドル作れるか?」とウォルターJr.に尋ねたのは、こういう事だったのです。

その頃、アンナは、レストランでマックスと食事をしていました。離婚した事でアンナがすがすがしい気持ちになっているのに対して、マックスは離婚して1年が経ってもまだアンナに未練があり、復縁を望んでいました。しかし、今、アンナにはウォルターJr.がいます。しかし、アンナを諦めきれないマックスは、ウォルターJr.の事を「彼は音楽家じゃない」と、見下します。



ある日、ウォルターJr.はアンナと一緒に、ジャックが紹介してくれた家を見学しに行きます。そこは、昔ながらの大きな屋敷で、大きな庭があり、夫・カルロス(ジョン・ヴァン・ドリーレン)に先立たれた老婦人・エステル(モーリン・ステイプルトン)が一人で暮らしていました。エステルは、ウォルターJr.たちを温かく出迎えます。エステルは、「(家自体だけでなく)家財道具も売っていい。」と言ってくれました。しかし、この家は、老夫婦が長い間暮らしてきただけあって、老朽化していました。階段は、エステルが修理を先延ばしにしているうちにもろくなり、昇り降りするのがとても怖いくらいになっていました。やがて、夜になり、エステルはウォルターJr.たちを愛車に乗せて、最寄りの駅まで送り届けてくれました。その時、エステルが、奇妙な発言をします。「夫は金曜に送還されるから。」カルロスは既に亡くなっているはずのに、なぜ帰ってくるのでしょうか?アンナは、エステルと一緒に2階の寝室にいた時に、真相を教えてもらっているようなのですが。



駅で列車を待つ間、ウォルターJr.は、今日訪ねた家を甚く気に入り、購入する決意をします。アンナも、「(購入費用の)半分を出す。」と、賛成してくれました。アンナは、マックスと離婚した際に手に入れたお金から購入費用を用意するといいます。では、ウォルターJr.の方は、どうするのでしょうか。ウォルターJr.には、ジャックとは別に伝手がありました。その伝手とは、ウォルターJr.が弁護士として関わっている、10代にしてスーパースターの青年・ベニーでした。ウォルターJr.は、ベニーが住む豪邸を訪ね、「200万ドルを貸してほしい」と頼みます。最初は頑なに拒むベニーでしたが、ウォルターJr.が脅すような口調であれこれ恩を着せると、ようやく首を縦に振ります。こうして、ウォルターJr.たちは、エステルがカルロスと暮らした家を購入する事ができたのです。



しかし、実際にウォルターJr.たちが住み始めてみると、問題が次々に発覚します。玄関の扉は明かず、呼び鈴を鳴らそうとすると火花が飛び散り、アンナが寝室のベッドに寝転ぶと、体が完全に沈んでしまうだけでなく、沈んだ体の上に、剥がれた天井の一部が落ちてきます。アンナがバスタブの蛇口をひねると、水ではなく、ドロリとした泥が出てきます。クローゼットに取り付けてあるバーは、指一本触れただけで、いとも簡単に落ちてしまいます。また、ウォルターJr.は、階段の修理もしなければなりません。釘を打つ事に不慣れなウォルターJr.は、トンカチで釘を打つと、斜め向きに刺さったり、自身の指を刺してしまったりと、見るからに危なっかしい様子。2人の新生活は、前途多難のようです。しかし、この段階で発覚した問題の数々は、ほんのまだ序の口でした…。



この映画のタイトルになっている「マネー・ピット」とは、「金食い虫」の事。ウォルターJr.とアンナが新生活を始めたこの大きな新居は、正真正銘の欠陥住宅で、住めば住むほど修理費用が上がっていく、まさに、金食い虫です。この後、この新居では、キッチンで電線がショートしたり、バスタブが置かれた2階の床が抜け落ちたり、修理中の階段が跡形もなく崩れ落ちたりと、悪夢の連続です。幾度も悪夢に巻き込まれるウォルターJr.役のトム・ハンクスは、体を張った熱演で観る者を笑わせてくれます。物語の後半になると、階段や足場などで家中を滑り落ち、庭の下り坂を豪快に滑り落ちていくという、迫力あり、笑いありのシーンが、彼を待っています。



そんな笑いどころ満載のこの映画で製作総指揮を務めたのは、「ジョーズ」(1975年)、「E.T.」(1982年)のスティーヴン・スピルバーグ。「スピルバーグって、コメディー映画を作った事があるの?」と、驚かれる方がいらっしゃるかと思います。私も、この事実を知った時は、大変驚きました。こんなに笑いに徹したスピルバーグ映画は、今まで全く観た事がありませんでした。思わぬ掘り出し物を見つけた気分です。監督を務めたのは、リチャード・ベンジャミン。1975年に、「サンシャイン・ボーイズ」で、第33回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞した俳優です。



この映画は、ウォルターJr.とアンナの新居で起きる悪夢に目が行きがちですが、他にも、注目ポイントがあります。アンナの元夫・マックスの抱く未練は、どうなるのでしょうか。また、夫・カルロスを亡くしているはずのエステルに、なぜカルロスが帰ってくるという確信があるのでしょうか。これらの答えは、ぜひDVDで!

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