ブレックファスト・クラブ(1985年 アメリカ)

ブレックファスト・クラブ [DVD]
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1984年3月24日土曜日午前7時、アメリカ・イリノイ州にあるシャーマー・ハイスクールの図書室に、5人の生徒が集まってきます。クレア(モリー・リングウォルド)は、「授業をサボって、買い物に出掛けただけなんだから。」と、学校の前まで送ってくれた父親に慰められています。数学部、ラテン語部、物理部を掛け持ちしていて多忙なブライアン(アンソニー・マイケル・ホール)は、またしても補習授業に出席する事になってしまったのをガミガミ責めてくる母親に「(補習授業は)今日こそが最後だ。」と、断言します。レスリング選手のアンドリュー(エミリオ・エステヴェス)は、「男は悪さをするものだ。運が悪かったんだ。」と言ったかと思うと、「(レスリングの名門の大学に入学しても)奨学金を借りられなくなるかもしれないぞ。」と脅してくる父親に嫌悪感を抱いています。ジョン(ジャド・ネルソン)は、筋金入りの問題児で、この日は、サングラスをかけて、たった一人で登校しました。同じくたった一人で登校したアリソン(アリ・シーディ)は、誰とも目を合わせたがらず、爪を噛む癖がかなり酷い様子です。5人は、学校から、この日に補習授業を受けるよう命じられていました。そして、5人が図書室にそろってすぐに、補習授業を担当するバーノン先生(ポール・グリーソン)がやって来ます。9時間にわたる長い補習授業の始まりです。

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補習授業で5人に課せられたのは、「自分とは何か」というテーマで、1000語以上の作文を書く事でした。5人が課題に取り組んでいる間、バーノン先生は、ドアが開いたままの隣室から監視をするといいます。しかし、5人は、それぞれ色々なやり方で抵抗します。クレアは、些細な理由で補習授業を受ける事に異議を唱え、ジョンは、両足を机の上に乗せたまま、バーノン先生を馬鹿にし、アリソンは、大きな音を立てて爪を噛み、ブライアンは、あれやこれやと御託を並べ、どの生徒も全くやる気が見られません。特に、ジョンは、バーノン先生が隣室へ行った後、トイレで用を足すふりをしたり、「クレアを孕ませる」と、冗談を口にしたり、「アンドリューとクレアはデキているのか?」と茶化したりと、とにかくやりたい放題。やがて、補習授業は、バーノン先生が図書室にいないのをいい事に、ジョンが仕切るおしゃべりタイムと化します。



さらに、ジョンは、隣室にいたバーノン先生が席を外した隙に、隣室の扉のねじを勝手に外し、扉を閉じてしまいます。これには、さすがの4人もジョンをたしなめます。やがて、バーノン先生が隣室に戻ると、異変に気付き、5人全員を問いただします。ところが、信じ難い事に、4人はなぜかジョンをかばいます。これを機に、5人の間には、友情が芽生えます。しかし、5人共、肝心の作文に取り組む気配はありませんでした。



その後もずっと、5人は、作文に目を向けようとしません。全員で熟睡したり、アリソンは絵を描いたり、ジョンはストレス発散に図書室の蔵書を破り続けたりと、5人の悪行は、エスカレートするばかりでした。ところが、一心同体であるかに思われた5人の心は、少しずつ、1対4の構造になっていきます。ジョンが、4人の事やそれぞれの親の事を容赦なく馬鹿にしたためでした。特に、クレアに対しては、勝手に処女だと思い込み、性行為の手順を事細かく説明して、面白がる始末。アンドリューは、次第にそれに耐えられなくなり、ジョンの体を抑え込みます。そして、二度とクレアに嫌がらせをしないよう、約束させるのでした。



午前11時30分、ランチの時間が近付いてきましたが、5人は相変わらず作文に手を付けません。時間を潰すアイデアは既に尽き果てており、誰もが退屈しています。ジョンは、この状態を脱すべく、映画「戦場にかける橋」で流れる曲「クワイ河マーチ」を口笛で吹き始めます。すると、他の4人も、ジョンにつられて、同じ曲を口笛で吹き始めます。しかし、その直後、バーノン先生が図書室に戻ってきます。30分間のランチの時間になったためです。5人は、バーノン先生の姿を見て、慌てて口笛を止めます。バーノン先生が図書室でランチを食べなければならない旨を告げると、5人は、「食堂でランチを食べるんじゃないんですか?」、「脱水症状が心配です。ミルクが欲しいです。」等、次々に文句をぶつけます。



「ああでもない。こうでもない。」とバーノン先生に文句を言い続けた5人でしたが、結局、最初に言われた通りに、図書室でランチを食べます。アンドリューとブライアンはサンドイッチとクッキーを、クレアは寿司を、アリソンは大量のグラニュー糖とスナック菓子を挟んだサンドイッチを机の上に置きます。因みに、飲み物は、皆が希望したミルクではなく、缶入りのコーラでした。しかし、ジョンだけは、なぜかランチを食べ始める気配がありません。さらに、家族の仲があまり良くない事を自ら一人芝居で説明すると、4人に信じてもらえず、ジョンは、その腹いせで図書室の備品を壊し始めます。4人は、さすがに「言い過ぎてしまった。」と、罪悪感を抱きます。



ランチの後、5人は、バーノン先生の姿が見えないのを確かめてから、図書室を出て行きます。そして、バーノン先生が職員室に入っていくのを確認した上で向かった先は、ジョンのロッカーでした。ジョンは、ロッカーの扉を開け、なんと、マリファナの入った包みを取り出します。5人は、ロッカーを離れ、図書室へ戻ろうとしますが、戻る途中で、バーノン先生に見つかりそうになります。こうして、図書室から一時的に離れている事がバレてはいけない5人と、そんな事に気付かず、のんびりと廊下を歩くバーノン先生による、スリル満点の駆け引きが始まるのです…。



ジョンのロッカーからマリファナが出て来て、空気が一段と悪い方向に変わってしまったかに思われますが、この空気は、まだまだ序の口です。この後、5人の悪行はますますグレードアップし、バーノン先生の怒りもまた、ますますグレードアップしていき、補習授業は、もはや崩壊状態となります。



監督は、1980年代にアメリカ映画界で青春映画の名手として活躍したジョン・ヒューズ。「すてきな片想い」(1984年)、「フェリスはある朝突然に」(1986年)等が有名です。



この映画を観て、「これは、なかなか興味深いなあ。」と思ったのは、最初の段階で、補習授業に出席する5人の生徒の名前が明らかにならない事でした。ジョンだけは、補習授業が始まる直前に明らかになりますが、アンドリュー、ブライアン、クレアの3人は、映画が始まって20分が過ぎた頃に、ようやく1人ずつ分かってきます。因みに、アリソンの名前が明らかになったのは、映画が始まって、1時間が経過した頃でした。この意図とは、何なのでしょうか?私は、5人の中で、ジョンが中心的な存在である事を強く印象付けるためではないかと思います。なぜなら、ジョンがバーノン先生に叱られる時は、必ず他の4人がかばっていますし、劇中で起こるトラブルのほとんどは、ジョンがきっかけを作っているからです。この映画は、彼の暴れっぷりなしでは、学園系エンターテイメントとして、成立しないのではないでしょうか。



しかし、この映画は、ただ5人が暴れ回るだけではありません。物語の後半になると、5人がそれぞれ抱える心の闇が次第に明らかになっていきます。その過程で、5人は、作文のテーマである「自分とは何か」を、淡々と、時には涙を流しながら、語っています。バーノン先生が掲げた理想とは別の形ですが、5人は、補習授業のスタート地点をきちんと覚えていたのです。この映画は、実は、学園系エンターテイメントでもあり、真面目な青春映画でもあります。ぜひ、ヒューズ監督が描いた見事な緩急と、生徒役を演じた俳優たち、女優たちのエネルギーを堪能していただきたいと思います。

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