グラン・ブルー完全版~デジタル・レストア・バージョン~(1988年 フランス)

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1965年、ギリシャ・キクラーデス諸島。8歳のフランス人少年・ジャックは、一人で地中海に飛び込み、海の生き物たちと戯れていました。しばらくして、海から上がったジャックは、近所に住む2人の少年たちから、「ジャック、海で何かが光ってる。早く来て。海の底に沈んでいるんだ。」と言われ、少年たちと一緒に海へ戻ります。しかし、ジャックが海を覘いてみると、生き物の姿が見当たらず、コインが海の底に沈んでいました。2人の少年たちは、どちらが先にコインを見つけたかで言い争いを始めてしまいます。ジャックは、2人をなだめ、自分を含めた3人でコインを分け合う事を提案します。しかし、2人が納得しなかったため、今度は、コインで何かを買い、買ったものを分け合う事を提案します。2人は、それを聞いて、ようやく納得してくれました。

ところが、ジャックたちがコインを取ろうとしたその時、イタリア人の少年エンゾが、弟のロベルトら大勢の仲間を引き連れて現れ、ほんのわずか6秒でコインを横取りしてしまいます。エンゾは、手に入れたコインをジャックに見せつけると、なんと、コインを海に戻してしまいます。そして、「6秒以内で拾えたら、これはお前のものだ。」と言って、ジャックにコインを取りに行かせようとします。しかし、ジャックはこれを頑なに拒みます。エンゾは、早々と諦め、仲間と一緒にその場を去るのでした。

エンゾたちが去った後、これまでのやり取りをすぐそばでずっと見守っていた神父が、ジャックに声を掛けます。「あれは、コインではないかね?」ジャックは、すぐに「コインです。」と答え、「拾いますか?」と神父に尋ねます。神父は、「貧しい人のためにな。」と、ジャックにコインを取りに行く事を勧めます。ジャックは、すぐに海に潜り、コインを見つけますが、神父はその間にいなくなってしまいました。そして、ジャックは、ふと目が覚めます。コインの話は、現実ではなく、ジャックが見た夢だったのです。

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ジャックは、父親(クロード・ベッソン)、そして、伯父のルイ(ジャン・ブイズ)と一緒に、1艘の小さな船に乗り込みます。同じ頃、海の近くの岩場では、エンゾが1人で釣りをしていました。ジャックの父親は、既に、ジャックの母親と離婚し、ダイバーとして働いていました。ジャックの母親は、離婚を機に、アメリカに帰国してしまったため、残されたジャックの父親は、ダイバーのように命の危険と隣り合わせの仕事をする事で、多額の生活費を稼がざるを得なくなってしまいました。ジャックは、船の上で海に潜る準備を進める父親を、心配そうな顔で見つめています。父親は、それを見て、「心配するな。海では人魚が助けてくれる。」と言って、ジャックを安心させ、海に潜っていきました。その後も、海に潜る父親を見守るジャックに、ルイは驚くような話を聞かせます。なんと、ルイは、以前に人魚を見た事があって、見た場所も覚えているというのです。しかし、ジャックは、大人の期待通りに、人魚を見た場所を尋ねてはくれず、ルイはがっかりしてしまいます。その代わり、ジャックが尋ねたのは、自身の両親が離婚した理由でした。

その最中、海に潜っていた父親にアクシデントが起こります。父親が吸っていた大事な空気が、突然、水中に漏れ、息ができなくなってしまったのです。父親は、ジャックの名を何度も呼び、助けを求めます。ジャックは、父親の声に気付き、自身も海に潜ろうとします。しかし、自分で酸素を取り込めない状態で海に潜るのはあまりにも危険なため、ルイに止められてしまいます。ジャックの声は、次第に涙の混じった金切り声に変わっていきます。しかし、ルイも、近くで異変に気付いたエンゾも、父親を助けに行く事は出来ませんでした。



1988年、イタリア・シチリア島。一人の青年が、助けを求めて、街を走り回っています。しばらくすると、一人の男性が助けに応じてくれる事になりました。この男性は、幼い頃に、ジャックからコインを横取りしたエンゾ(ジャン・レノ)でした。エンゾは、ロベルト(マルク・ドゥレ)を呼び、一緒に海の近くまで行きます。すると、突然、スーツ姿の男性が、2人の前に現れます。街を走り回っていた男性は、このスーツ姿の男性から頼まれて、助けてくれる人を探していたのです。スーツ姿の男性は、会社の命令で難破船の遺留品、特にモーターを回収していました。ダイバーを潜らせたところ、波で船が傾き、ダイバーは船の中に閉じ込められてしまったのです。エンゾは、スーツ姿の男性に対して、報酬として1万ドルを貰う約束をした上で、依頼を引き受けます。エンゾは、潜水服に着替え、早速海に潜ります。そして、船の中に入り、慎重に探し回ったところ、ダイバーを見つけ、無事に救出。約束通り、1万ドルを手にしたエンゾは、ロベルトに、1万ドルを使って、自身の少年時代の親友・ジャックを探すよう、命じるのでした。



南米・ペルー、アンデス山脈の海抜4,319メートルのところにあるラ・ラーヤ駅。アメリカ・ニューヨークに住む保険会社の調査員・ジョアナ(ロザンナ・アークエット)は、大きな荷物を抱え、この駅に降り立ちます。ジョアナは、この地にある氷原で発生した事故について調査をするため、この駅から少し離れたところにあるローレンス博士(ポール・シュナール)の研究所を訪れる事になっていたのです。駅の前では、ローレンス博士の助手と名乗る男性がジョナアを迎えに来ていました。ジョナアは、男性が運転する雪上車に乗り、研究所に向かいます。その後、一面の銀世界と化した目的地に到着したジョアナは、ようやくローレンス博士と対面します。

そして、ジョアナが窓の外にふと目をやると、潜水服姿の男性が、分厚い氷が解けかけた湖に潜ろうとしていました。男性は、少年時代に父親を海でのアクシデントで亡くしたジャック(ジャン・マルク・バール)でした。ジャックは、潜水中の人間の体の状態を研究しているローレンス博士にこうして協力しているのです。ジャックは、これから湖に落ちたトラックから研究機材を回収するところでした。しかも、信じ難い事に、ジャックは素潜りをしようとしています。ジョアナは、ローレンス博士がジャックを命の危険に晒しているような気がしてなりませんでしたが、ジャックは、酸素ボンベがなくても冷水に耐えられる、ごくまれな身体能力の持ち主である事から、心配は無用でした。

その後、ジョアナは、湖から上がったジャックの元に、淹れたてのホットコーヒーを持っていきます。ジャックは、全く疲れておらず、ジョアナの顔を見て、「イルカ顔だね。」と冗談を言える程でした。ジョアナは、ジャックの目力が気になってしまい、何も言い返せませんでした。翌朝、ジャックがジョアナの元を訪ねてきます。目的は、ジョアナにプレゼントを渡す事でした。そのプレゼントとは、イルカが乗ったスノードームでした。ジャックは、スノードームを手渡すと、すぐにその場を去っていきます。



フランス南部・コートダジュール。久々にフランスに帰国したジャックは、クラウン、ダージリンら、ジャックとの再会を心待ちにしている数頭のイルカが泳いでいる施設に向かいます。そして、イルカたちとの再会を果たすと、ペルーで買ったお土産を1つずつ渡していきます。お土産を渡し終えると、ジャックは、イルカたちが泳いでいるプールに飛び込み、一緒に泳ぎを楽しみます。その後、施設を離れたジャックは、自身のトレーニングのため、あるトレーニング施設に向かいます。ジャックは、潜水服を着て、酸素ボンベを身に付け、トレーニング用のプールに飛び込みます。

しばらくして、水中から顔を出すと、プールサイドにエンゾが立っていました。エンゾが会いにやってきた理由は、ただ1つ。10日後に控えたイタリア・シチリア島のタオルミナで開催される無呼吸潜水の選手権にジャックを招待する旨を、直接伝えるためでした。しかし、ジャックは弱気になっていました。以前から、エンゾが世界チャンピオンである事を知っているためです。しかし、エンゾは、ジャックに精神的に強くなってほしいと願っていました。タオルミナでの選手権で一緒に戦い、自身を負かす事でジャックに自信を付けてほしかったのです…。



ジャックの少年時代がモノクロ映像で、現代がカラー映像で構成されているこの映画で監督を務めたのは、「レオン」(1994年)、「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」(2011年)、「マラヴィータ」(2013年)等を手掛けた、リュック・ベッソン監督。ベッソン監督は、10代からダイビングに親しみ、イルカに魅せられたダイバーの物語を作るのが長年の夢だったそうで、その夢を叶えるべく、主人公・ジャックのモデルである伝説のダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て、物語を作り上げました。



この映画のオリジナル版は、1988年に本国フランス及び日本で公開されました。劇場公開された当時、フランスでは、ハイティーンから絶大な支持を集め、特に、パリでは、187週連続上映という大記録を打ち立てました。年数でいえば、劇場公開から4年弱ぐらいの間、ずっと映画館で上映されていた事になるでしょうか。日本ではとても考えられない社会現象です。因みに、今回ご紹介している「完全版~デジタル・レストア・バージョン~」が日本で公開されたのは、それから22年後の2010年の事でした。



ジャン・マルク・バール演じるジャックは、女性の心を掴む術はよく知りませんが、イルカの気持ちや、海に潜る時の喜びならよく知っているピュアな心の持ち主。ロザンナ・アークエット演じるジョアナが目力の虜になってしまったように、女性を惹きつける目力の強さが印象的です。口で何か知的な事を語るよりも、目力の強さの方が、男性としての魅力が断然伝わりやすいと思います。そのため、ほとんど地味な衣装ばかり着ているのも、あまり気になりません。逆に、派手な衣装ばかりを着ていて、ドスの利いた物言いが印象的なのは、ジャン・レノ演じるエンゾです。因みに、エンゾにも実在のモデルがいます。イタリア人ダイバーのエンゾ・マイオルカです。この映画でジャン・レノが演じたエンゾは、何となく近寄り難いけれど、ジャックを心から心配する一面があり、どこか憎めません。また、母親の愛情にめっぽう弱いのも、観ていて面白いです。また、ロザンナ・アークエット演じるジョアナは、至って庶民的なキャラクターです。面白い時は豪快に笑い、食べ物を食べる時は、背中を少し丸めて一度に大量に口に運びます。しかし、物語の後半では、男性の心にグッと来るような優しい一面も見せます。観ていて、非常に親近感が湧く女性です。



ここで、ジャックがずっと愛し続けたイルカについて少し触れたいと思います。この映画では、イルカが何度も登場しますが、その中でも、私が特に気に入っているのは、ジャックがコートダジュールで再会した、クラウン、ダージリンをはじめとするイルカたちです。ジャックからお土産を貰う時に見せる笑顔がとにかくカワイイですし、ジャックからの呼びかけに、まるで人間のように絶妙な間で返事をしていて、イルカの賢さを改めて感じましたし、ジャックと一体となって泳いでいる時も、思わず同じ体験をしたくなってしまいました。



この後、エンゾからイタリア・シチリア島タオルミナでの無呼吸潜水の選手権に招待されたジャックは、戦いに挑む決意をします。しかし、物語はまだまだ終わりません。上映時間は2時間48分にも及びます。選手権が終わった後も、ジャック、エンゾ、それぞれの向上心は止まるところを知りません。また、ペルーでジャックと知り合ったジョアナも、ニューヨークに帰った後、あのジャックの目力がどうしても頭から離れません。3人は、良い方向へ向かっているように見えますが、実は、…。続きが気になる方はぜひチェックを。

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