アイ・アム・サム(2001年 アメリカ)


I am Sam [DVD]
東芝デジタルフロンティア
2006-12-22

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ある年の12月6日、スターバックスコーヒーで働く知的障がい者の中年男性・サム(ショーン・ペン)は、この日も真面目に仕事に取り組んでいました。サムは、いつも、店内の備品を綺麗に整え、テーブルを綺麗に拭き、常連客のお決まりのカスタマイズもきちんと覚えていました。そんなサムに、上司のジョージ(ボビー・クーパー)が「病院へ行く時間だ」と声を掛けます。サムは、制服のまま、病院を目指して、走り出します。

その後、サムは、ようやく病院に着くと、自身の子どもを身籠ったホームレスの女性・レベッカ(キャロライン・キーナン)の元へ走っていきます。レベッカは、サムが病院に着いた時には、既に産気付き、まさに分娩台に乗って、いきんでいました。しばらくして、レベッカは、女の子を出産。女の子は「ルーシー」と名付けられ、レベッカはその日のうちに退院します。レベッカは、ルーシーを抱っこしていたサムと一緒に、病院の前でバスに乗ろうとしていました。しかし、レベッカは、サムが目を逸らした隙に突然走り出し、すぐに姿が見えなくなってしまいます。サムは、すぐに異変に気付き、レベッカを探しますが、結局、見つける事が出来ませんでした。実は、レベッカは、ずっと子どもが欲しかったわけではありませんでした。たまたまサムと出会って、意気投合し、体を許した時に、油断して避妊を怠っただけなのです。


アイ・アム・サム
V2レコーズジャパン/コロムビアミュージックエンタテインメント
2002-03-20
サントラ

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サムは、男手一つでルーシーを育てなければならなくなってしまいました。サムは、毎日、ゆっくりとしたペースで、ミルクを飲ませたり、おしめを交換したりしていましたが、夜泣きだけは上手く対処する事が出来ませんでした。ある日、近所のアパートに住む外出恐怖症の女性・アニー(ダイアン・ウィースト)は、ルーシーの泣き声が聞こえてきた事から、自宅の窓を開けて、サムに声を掛け、2人を招いて、サムに夜泣きの対処法を指南します。既にかなり疲れ切っていたサムは、船を漕ぎながら、話に耳を傾けていました。また、サムは、週に1度のビデオ鑑賞会を8年間続けているのですが、ロバート(スタンリー・デサンティス)、ブラッド(ブラッド・アラン・シルヴァーマン)、ジョー(ジョセフ・ローゼンバーグ)ら、ビデオ鑑賞会の仲間たちも、サムとルーシーが暮らす自宅を度々訪れ、ルーシーを我が子のようにかわいがってくれていました。

しかし、サムの仕事は、ルーシーを育てる事だけではありません。これまで通り、スターバックスコーヒーでも仕事をこなさなければなりません。サムは、毎日、ルーシーを連れて出勤していました。ジョージは、ルーシーを抱っこしながら仕事をこなすサムの事を、心配するようになります。サムがルーシーを抱っこしたままで仕事をしたら、店内のどこかでお客さんとぶつかって、お客さんに迷惑を掛けてしまうのではないかと考えていたのです。ある日、ジョージは、サムに自分の意見を正直に伝えます。サムは、誰かにルーシーの面倒を見てもらう事が大切だと気付き、アニーの自宅を訪れて、「(自分が仕事に行く時は)ルーシーの面倒を見てほしい」と頼みます。アニーは、どう返事したらいいのかが分からず、しばらくの間黙ってしまいますが、結局、引き受ける事にします。



7年後、ルーシー(ダコタ・ファニング)は大きく成長し、小学校への入学を間近に控えていました。常に好奇心旺盛で、サムが他の父親とは何かが違う事を何となく理解しつつありました。ルーシーは、小学校に入学後、同級生のコナー(メイソン・ルセロ)と仲良くなり、毎日充実した生活を送っていました。そんなある日、サムは、1軒のカフェを訪れ、クロスワードパズルに夢中になっていた時に、リリー(ロザリンド・チャオ)という女性客に声を掛けられます。リリーは、自身が読んだ新聞記事の事で、サムに感想を求めてきたのです。このやりとりがきっかけで、2人は、しばらくの間、おしゃべりに花を咲かせますが、そこへ突然、警察官が数人現れ、サムは逮捕されてしまいます。実は、リリーの正体は、娼婦でした。つまり、サムは、買春未遂の罪で逮捕されたのです。

幸い、サムはすぐに釈放されます。しかし、今度は、ルーシーの事で問題が発覚します。ある日、サムは、ルーシーの通う小学校に呼ばれ、担任教師から、「ルーシーが、学校で勉強するのを怖がっている。」と打ち明けられます。さらに、児童福祉局から小学校に連絡があり、サムの知能が7歳程である事も、担任教師の耳に入っていました。今、ルーシーは、6歳。担任教師は、ルーシーが8歳になったら、サムはもう育児ができないのではないかと心配していました。確かに、サムは、毎晩続けている絵本の読み聞かせに難しさを感じるようになっていました。最近、ルーシーの成長に合わせて買った絵本は、読み方が分からない単語が並ぶものばかりで、単語の読み方で困った時は、ルーシーに読んでもらっていました。しかし、サムは、なぜか、担任教師の前で、心から愛してやまないビートルズの話をし始め、自分はまだ育児ができるという事をアピールします。



12月6日、ルーシーは7歳の誕生日を迎えます。サムは、自宅で、コナーをはじめとするルーシーの友達や、ロバート、ジョーたちと一緒に、ルーシーの誕生日を祝うサプライズパーティーの準備をしていました。しばらくして、玄関のドアをノックする音が周囲に響き渡り、サムが、ドアを開けると、その先にいたのはルーシーではなく、児童福祉局のソーシャル・ワーカーであるキャルグローヴ(ロレッタ・デヴァイン)でした。キャルグローヴは何か重要な話をしようとしますが、サムは、キャルグローヴもサプライズパーティーの仕掛け人だと思い込み、急いで中に引き入れます。「ルーシーが来る前に、隠れて。」と周囲に呼びかけるサム。しかし、コナーだけはなかなか言う事を聞きません。そして、今度こそ、本当にルーシーがやって来るのですが、コナーは「本当の親じゃないってルーシーが言ってたぞ」とサムに厳しい言葉を浴びせます。ルーシーは、自分がコナーに話したキツいジョークがサムの耳に入ってしまった事に驚き、どこかへ行ってしまいます。

キャルグローヴは、警察と協力してルーシーを探し、無事に発見すると、施設で保護します。実は、キャルグローヴがサムとルーシーの自宅を訪れた目的は、ルーシーをサムから引き離して、施設に連れて行く事でした。児童福祉局は、サムの保護者としての責任能力に疑問を感じ、父娘2人きりの生活は望ましくないと、勝手に決め付けていたのです。1か月後に裁判所で正式な審理が始まるまでの間、サムがルーシーに会えるのは、週2回、2時間ずつしかありません。7年間ずっと、ルーシーに愛情を精一杯注いできたサムにとって、それはあまりにも厳しい試練でした。



サムは、弁護士に弁護を依頼する必要が生じます。サムは、ビデオ鑑賞会の仲間と一緒に電話帳を使って、自身の弁護を引き受けてくれそうな弁護士を探し、その結果、エリート弁護士のリタ(ミシェル・ファイファー)に辿り着きます。サムは、リタに弁護を依頼すべく、彼女の法律事務所を訪ね、面会を果たします。しかし、受付係のミスで十分な長さの面会時間を設けてもらえず、話をほとんど聞いてもらえませんでした。リタは、仕事の電話や息子・ウィリー(チェイス・マッケンジー・ベバック)からの電話があまりにも多く、また、この時期に訴訟を7件も掛け持ちしており、見るからに多忙だったのです。リタは、サムの限られた収入に配慮する目的で、親権に詳しく、尚且つ、弁護料がもう少し安い弁護士がいる事をサムに教え、自らその弁護士に連絡を取る事を約束します。しかし、この約束は、サムのような収入が高くない依頼人から上手く逃げるためについた嘘でした。サムは、リタから紹介された弁護士に弁護料を支払えるよう、スターバックスコーヒーで昇進試験にチャレンジしたり、再び、リタの法律事務所を訪れて、その弁護士に連絡を取ったかどうかをリタに直接確かめたりと、ルーシーを取り戻すための努力を続けます。

数日後、サムは、リタからまだ連絡が来ていない事から、三度、リタの法律事務所を訪れます。リタは、嘘がバレないよう、あれこれ言い逃れをしますが、途中で、周囲にいた人たちの視線が気になり始め、突然、「自分が弁護を引き受ける」とサムに宣言します。サムは、ついに弁護士が決まり、大喜びしますが、そんな事をしている場合ではありません。サムは、ちょうどこの時間に、分析医の元を訪ね、裁判所命令による診断を受ける予定になっているのです。サムは、大急ぎでリタに車で送ってもらうのでした。

正式な審理が始まる3日前、リタは苦悩していました。リタは、サムが審理で有利な立場になるよう、サム側の証人を賢く選んだつもりでしたが、どの証人からも、説得力のある言葉を引き出す事ができないでいました。それも無理はありません。どの証人も皆、サムのビデオ鑑賞会の仲間なのですから。リタは、スターバックスコーヒーを訪ね、「他に証人はいないの?」とサムに怒りをぶつけます。サムは、アニーに証人になってもらおうと考え、アニーの自宅を訪ねます。大学を卒業しているアニーなら、様々な物事をきちんと順序立てて話す事ができると考えたのです。しかし、アニーは、サムの気持ちに応えたくても、外出恐怖症にはどうしても勝てず、非常に申し訳ない気持ちでサムの頼みを断ります。



そして、ついに、正式な審理が始まります。当日は、ジョー、ロバートたちが横断幕を持参して法廷に駆けつけていました。それを見たサムは、非常に勇気付けられます。しかし、いざ審理が始まると、サムにとって難し過ぎる言葉が次から次へと飛び出し、サムは状況を理解できなくなっていきます。さらに、審理は、サムにとって次第に不利なものになっていきます。そんなサムの心の支えは、週に2回認められている、ルーシーとの面会でした。ある日、ルーシーとの面会日を迎えたサムは、ルーシーに会いに行きます。そして、わずか2時間の面会時間はあっという間に終わり、サムが帰り支度をしようとすると、ルーシーはトイレに行きます。トイレの個室に入ったルーシーは、誰も見ていない隙に、こっそり抜け出し、サムと再会して、一緒にバスに乗って公園へ向かいます。ルーシーは、実の親と会えなくなった子どもたちの悲しい顔を施設で何度も目にし、やむを得ない事情とはいえ、親子の縁が強引に切られてしまう事の恐ろしさを学んでいたのです。

しかし、施設の職員たちは、ルーシーがいなくなった事にすぐに気付き、警察に通報します。警察官が2人を公園で見つけたのは、この日の夜でした。ルーシーは、施設に戻った後、サムの養育権の放棄を強く望む検察官・ターナー(リチャード・シフ)による事情聴取を受けます。ターナーは、この事情聴取を、自分の立場をより有利にする事が出来るビッグチャンスと捉え、ルーシーがサムに誘拐されたというシナリオを勝手に作り、まだ幼いルーシーに対して誘導尋問を続けます。さらに、ターナーは、サムの審理においても、攻撃の手を止めませんでした。「将来、サムは、ルーシーが思春期になった時に、知的障がい者であるが故に何もできない。」、「サムは、IQが低いから、この審理で言われた事を何も理解できない。」など、物静かな口調で、サムの弱点を執拗に責め続けます。リタがサムを懸命に守ろうとしても、サムが見るに堪えないくらいに動揺しても、ターナーはまるで聞く耳を持たず、最終的に、サムにルーシーの事を諦めさせてしまいます。自身の考えがついに認められたターナーは、今にも涙がこぼれそうな、感慨深い表情を浮かべ、サムが絶望的な気分になった事については、何の関心も持ちませんでした。リタは、たとえ奈落の底に突き落とされても、一人の母親として、ルーシーの事を諦められませんでした…。



主人公のサムを演じたショーン・ペンは、役作りに定評があるハリウッドスターの一人ですが、「アイ・アム・サム」においても、その力を存分に発揮しています。台詞回し、健常者の大人とは違うピュアな雰囲気、ルーシーと離れ離れになった時の動揺ぶりなど、とにかく、演技の全てに鬼気迫るものが感じられました。

また、「アイ・アム・サム」と言えば、ルーシーを演じたダコタ・ファニングの聡明さを思い浮かべる方が少なくないかと思います。私は、今回、数年ぶりにこの映画を観ましたが、彼女はやっぱり可愛かった~!サムと一緒に無邪気な顔をして遊ぶ姿はもちろん素敵でしたし、施設を抜け出した時の行動力の凄さには、道徳的にいけない行動とは理解していますが、なぜか応援したくなってしまいました。

さらに、リタを演じたミシェル・ファイファーは、法律事務所であたふたしている時のコメディエンヌぶりも、裁判所で見せるシリアスな演技も、どちらも凄く見応えがあり、演技力の幅広さを見せつけていました。

そして、もう一人忘れてはならないのは、検察官のターナーを演じたリチャード・シフ。この映画では、一番の悪役です。サムやリタが審理でどんなに怒りを露わにしても、彼は感情を表に出さず、また、ルーシーに対して事情聴取をする時も、相手が子どもである事を一切気にせず、知的障がい者に対する偏見の酷さを見事に表現しています。審理のシーンで、サムを演じたショーン・ペンを相手に、高い演技力と高い演技力のぶつかり合いをしている様子は、物凄く見応えがありました。



物語の後半に登場する審理のシーンで、ターナーに弱点を執拗に責められたサムは、こう反論します。「いい親になるには、いったいどうすればいいか。その答えは、不変であること。それから、忍耐強いこと、話をよく聞くこと。たとえ、内容が分からなくても、聞いてる振りをする事。それから、愛することだ。」たとえ、親が知的障がいを持っていても、その親は、サムのように真剣に我が子と向き合う事ができるのです。障がい者は、日常生活において、出来ない事はある程度ありますが、他に出来る事もあるのだという事を改めて教えてくれる、非常に印象深い台詞でした。


I am Sam [DVD]
東芝デジタルフロンティア
2006-12-22

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この記事へのコメント

  • アールグレイ

    友達の紹介で観ました。心に残る映画を教えてくれた友達も、すばらしいと思いました。もう1度観たいと思います。
    (『ギルバート・グレイプ』の記事中の、ディカプリオをディアプリオと間違えました。失礼いたしました)
    2019年02月15日 05:57
  • Kanako

    アールグレイさんもご覧になっていたんですね。心に残る映画って、本当に良いですよね。ぜひぜひ、もう1度楽しんでいただけたらと思います。

    ※「ディカプリオ」の件、あまりお気になさらなくても、大丈夫ですよ。
    2019年02月15日 12:17

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