ギルバート・グレイプ(1993年 アメリカ)


ギルバート・グレイプ [DVD]
角川書店
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アメリカ・アイオワ州にある小さな田舎町エンドーラ。この町にある真っ直ぐな一本道の脇で、2人の兄弟が何かを待っています。地元の食料品店で働くグレイプ家の次男・ギルバート(ジョニー・デップ)と、もうすぐ18歳になる知的障がい者の三男・アーニー(レオナルド・ディカプリオ)です。特に、アーニーはずっとそわそわしていて落ち着かない様子です。しばらくすると、ようやく何かが兄弟の元にやって来ます。それは、何台も続くトレーラーの列でした。アーニーは、大声を上げて喜び、走って後を追いかけ、ギルバートも慌てて後に続きます。この兄弟にとって、トレーラーの列を見るのは、毎年の恒例行事でした。


ギルバート・グレイプ [Blu-ray]
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アーニーが生まれた時、医師は、「(アーニーの)寿命は10歳だ」と家族に説明しましたが、実際にはそれを大きく上回っていました。グレイプ家は、17年前に父親が突然亡くなり、母親のボニー(ダーレーン・ケイツ)は女手一つで兄弟を育てましたが、夫を亡くした喪失感から食べる量が急激に増え、立って歩くのが困難なくらいにふくよかになってしまい、家から一歩も外に出られない状態が7年も続いていました。長男・ラリーは既に独立し、次男であるギルバートは、時間の許す限り、三男であるアーニーに寄り添っていました。長女・エイミー(ローラ・ハリントン)は母親役として一家を支え、15歳になる次女・エレン(メリー・ケイト・シェルバート)は、歯の矯正が終わったばかりで、矯正器が取れたばかりの歯に何か違和感を覚えていました。


ギルバート・グレイプ
二見書房
ピーター ヘッジズ

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ある日、ギルバートは、いつものように、アーニーとエレンを車に乗せ、食料品店に出勤します。いつも、ギルバートは、食料品店に到着するとエレンと別れ、自身は、アーニーを店内で遊ばせながら、仕事をしていました。最近、食料品店は閑散としていました。すぐ近くにスーパーが開店したのです。しかし、ギルバートは、この現状を冷静に受け止めていました。「スーパーに行くようになったお客さんは、しばらくすれば戻ってきてくれる」と信じていました。



この日の夕方、勤務時間を終えたギルバートは、店を出ようとした時に、店長から、常連客のベティー(メアリー・スティーンバージェン)の自宅へ配達に行くよう頼まれ、すぐにアーニーと一緒に配達に向かいます。実は、ベティーは、既婚者であるにも関わらず、ギルバートと肉体的に結ばれる事を以前から切に願っていました。この日も、ベティーは、自宅に入ってきたギルバートの背後に回り、一方的に頬に何度もキスをします。最初はベティーの行動に戸惑っていたギルバートでしたが、気が付けば、ベティーとのキスを止められなくなっていました。車の中で留守番をしていたアーニーは、ギルバートがそんな事になっているとは知る由もありませんでした。

しかし、ギルバートは、ベティーをテーブルの上に押し倒した時に、ベティーの夫・ケン(ケヴィン・タイ)が帰宅して、息子のトッドやダグと一緒にトランポリンをして遊んでいる事に気付きます。ギルバートは、慌てて帰宅の途に就こうとしますが、その時、ケンと鉢合わせに。ケンは、目の前に現れたギルバートのすぐ後ろにベティーがいた事から、「何か良からぬ事があったのでは」と察知し、ギルバートを呼び留めます。ケンは、配達料を支払い、自身が経営する保険会社のオフィスに来るよう伝えます。



その後、ギルバートは、ようやくアーニーと一緒に帰宅しようとします。ところが、アーニーの姿がどこにも見当たりません。アーニーは、なんと、すぐそばにある給水塔の頂上に上ろうとしていました。アーニーがこの給水塔に上るのは、日常茶飯事でした。毎回、パトカーが出動しては、保安官とギルバートが時間をかけて説得し、ギルバートが本人に代わって保安官に謝っているのですが、本人は、事の重大さを理解できないため、つい同じ事を繰り返してしまうのです。この日も、アーニーは、パトカーが出動する程の大騒動になっている事をよく理解できず、大声ではしゃぎながら上っていました。ギルバートは、パトカーのサイレンの音に気付き、給水塔のそばまで駆けつけ、保安官と一緒になって、アーニーに声を掛けますが、アーニーは、全く耳を傾けません。しかし、ギルバートが即興で給水塔の怖さを歌で伝えると、アーニーはギルバートの後に続いて歌い、ようやく地上に降りるのでした。



ある日、アーニーと一緒に街を歩いていたギルバートは、カフェの前で、友人のボビー(クリスピン・グローヴァー)に呼び留められ、ギルバート、ボビー、さらに、もう一人の友人のタッカー(ジョン・C・ライリー)の3人で食事をします。食事をしている間、アーニーは、店内にあるゲームで遊んでいました。ボビーは仕事の話を一生懸命していましたが、ギルバートはあまり話を聞かず、窓の外を眺めていました。すると、ギルバートは、帽子を被り、ワンピースを着た若い女性・ベッキー(ジュリエット・ルイス)が自転車を引っ張っているのを見つけます。ギルバートは、ベッキーの顔に見覚えがありました。ベッキーは、アーニーが給水塔に上った時に、大勢の野次馬の中にいた女性で、その時もやはり自転車を引っ張っていました。ギルバートは、ベッキーをじっと見つめ、ベッキーもギルバートをチラチラと見ながら通り過ぎていきます。



その後、食料品店で仕事をしていたギルバートは、買い物に来ていたベティーから小声で呼び留められ、次の木曜日に会う約束をさせられてしまいます。その瞬間、ギルバートがカフェの前で見かけたベッキーも、食料品店に買い物に訪れます。ギルバートは、しばらくの間、ベッキーの後を追いますが、途中でベティーに配達を頼まれてしまいます。しかし、その後、ベッキーの自宅にも配達に行く事になってしまいます。ギルバートは、ベッキーの自宅への配達を優先させる事にします。配達と言っても、この場合は、ベッキーの買った品物を自宅まで届けるので、ベッキーから見れば、荷物持ちのような役回りです。勿論、アーニーも配達に同行します。ベッキーの自宅は、トレーラーハウスでした。ベッキーは、祖母(ペネロープ・ブランニング)と一緒に、このトレーラーハウスに乗り、色々な場所を旅行で訪れていたのですが、エンドーラに着いた時にエンジンがかからなくなってしまい、数日間ずっと足止めを喰らっていたのです。



数日後、ギルバートはカフェでボビーたちと一緒に食事をしていました。一番奥の席では、ベティーがケンやトッド、ダグと一緒に食事をしています。この日、ギルバートは、ケンのオフィスに行く予定になっていました。ギルバートは、ベティーの気まずい表情やダイナーを出る前にさりげなく肩を優しく叩くケンが怖くて仕方がありませんでした。結局、ギルバートは、ケンに会いに行くのを勝手に止めてしまいます。ケンがギルバートに会う目的は、ギルバートが想像しているのとは全く違うというのに。



翌日、アーニーがまたしても給水塔に上ろうとしていました。アーニーの姿を見かけたエレンは必死で止めようとしますが、アーニーはそれを振り払い、給水塔に取り付けられている梯子に向かいます。それでも、エレンは、アーニーの行動を止める責任感から逃れる訳にはいかず、なんと、アーニーの髪を強く引っ張ります。エレンは、「アーニーは、意図的に家族を困らせているのだ」と思い込んでいたのです。アーニーは、さすがに髪を引っ張られる痛みに耐えられず、泣き叫びます。偶然近くにいたギルバートは、アーニーの泣き叫ぶ声に気付き、大急ぎで助けに行きます。アーニーは、髪を引っ張られただけでなく、手首を擦りむいていました。



ある日、ギルバートは、ベッキーのトレーラーハウスに招待され、ベッキーと祖母が用意した食事をごちそうになります。食事中、ベッキーが非常に旅行好きである事や、祖母はもともと旅行に興味がなかったのに、ベッキーと一緒にトレーラーハウスで旅行をする事で旅行が好きになった事など、興味深い話が次々に飛び出します。その後、ベッキーは、ギルバートに将来の夢があるかどうか尋ねますが、「特にない」との返事が返ってきます。ベッキーは、そんなギルバートに、「何かやりたい事を見つけた方がいい」とアドバイスします。今まで目の前の事で精一杯だったギルバートにとって、それはあまりにも衝撃的な言葉でした…。



この映画は、ピーター・ヘッジズの同名タイトルの小説が原作となっています。メガホンを取ったのは、ラッセ・ハルストレム監督。代表作に、「ショコラ」(2000年)、「HACHI 約束の犬」(2009年)、「マダム・マロリーと魔法のスパイス」(2014年)があります。



私がこの映画を観て印象に残ったのは、アーニー役のレオナルド・ディカプリオの熱演ぶりです。体の動きも、独り言の台詞を発するタイミングも、ギルバートがいない時の動揺ぶりも、とにかく見事でした。当時、ディカプリオはまだ10代でしたが、徹底した役作りに類稀なる才能を感じ、ディカプリオが10代の時から注目が高かった理由がよく分かりました。また、ギルバート役のジョニー・デップの演技も素晴らしかったです。家族の世話に明け暮れる事を、特に大変だと感じた事がなく、ごく当たり前でしかなかったのが、ベッキーとの出会いがきっかけで、実は、自分は重荷を背負い続けていた事に気付くという、心の変化を見事に表現していました。



ギルバートは、この後、自身の置かれた状況を理解するのと同時に、アーニーの自立の必要性に気付きます。しかし、これが大変な問題に発展します。ギルバートは、この大変な問題というものにどう向き合い、どういう答えを見つけるのでしょうか。気になる方は、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。


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この記事へのコメント

アールグレイ
2019年02月14日 05:43
テレビで観て、印象に残りました。後で、アーニーの役がレオナルド・ディァプリオだと知り驚きました。栴檀は双葉より芳しですね。
2019年02月14日 11:00
そうなんですよ。ディカプリオは、こんなにあどけない顔で、高度な演技力を要する役を巧みに演じていたんですよ。凄いですよね。

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