ウォール街(1987年 アメリカ)


ウォール街(特別編) [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2016-01-20

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アメリカ・ニューヨークにある証券会社J・スタイナム社。今日も、小さなエレベーターに、定員を超えそうなくらいの数の社員が押し寄せます。オフィスでは、ディーラーたちが電話を片手にパソコンをじっと見つめています。そこへ、一人の若い社員が出社し、パソコンを見つめる彼らに気さくに声を掛けます。この社員の名は、バド・フォックス(チャーリー・シーン)。ニューヨークのクィーンズ地区で生まれ育ったバドは、奨学ローンでニューヨーク州立大学を卒業後、「医者、弁護士、或いは航空会社の社員になるべき」という父・カール(マーティン・シーン)の反対を押し切り、この会社に入社しました。証券会社の一員になれば、カールが整備士として勤務する航空会社・ブルースター航空の5倍もの収入が得られるからです。今は、アカウント・エグゼクティブ、つまり、電話で勧誘をするのが仕事で、奨学ローンの返済が難しいくらいに収入が少ないですが、ゆくゆくは投資部門に異動したいと考えていました。


ウォール街 [Blu-ray]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2010-12-23

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バドは、自分の席に着くと、ある人物に電話を掛けます。電話の相手は、投資銀行ゲッコー・アンド・カンパニーを経営するゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)でした。ゲッコーは、貧困家庭で生まれ育ち、不動産投資がきっかけで巨万の富を築いた人物で、ウォール街ではカリスマ的な存在でした。バドがゲッコーに電話を掛けるのは、これが初めてではありませんでした。実は、この日を含めて、59日連続で電話を掛けていたのです。



翌日、バドは、ゲッコー・アンド・カンパニーを訪ねます。電話で勧誘するのをとうとう諦め、なんと、敢えてアポイントを取らずにゲッコーに会う事に決めたのです。バドは、前日に電話を掛けた時に出てくれた受付のナンシーを見かけ、ある程度口説いた後、ゲッコーとの面会を直訴します。ナンシーは、最初、毅然とした態度で断りますが、結局いつまでも諦めないバドに根負けし、ゲッコーに無理を言って時間を作ってもらいます。こうして、バドは初めてゲッコーに会う事ができたのです。

最初、ゲッコーは、バドが59日連続で勧誘の電話を入れてきた事への不快感を口にします。しかし、バドは、意に介さず、自身が航空業界にコネがある事、ゲッコーに対する尊敬の気持ちなどをアピールして、ゲッコーの心を動かそうとします。しかし、両者の専門知識の数の差は歴然でした。それでも、バドは、決してひるまず、なんと、ゲッコーにブルースター航空の株の取得を勧め、自身の名刺を渡して、ゲッコー・アンド・カンパニーを去っていきます。その後、バドがJ・スタイナム社に戻ると、早速ゲッコーから電話が入ります。その内容は、バドにブルースター航空の株を2万株買ってほしいというものでした。バドは、ついに出世への道が開けたと思い、大喜びします。



翌日、バドは、とあるレストランでゲッコーと一緒に昼食をとるのですが、その際、ゲッコーから小切手を受け取ります。驚くべき事に、そこには、「100万ドル(日本円で約1億1000万円)」と記してありました。その巨大な金額には、さすがのバドも衝撃を受けます。ゲッコーは、かねてから自身が目を付けていた株をこれから手に入れ、さらに、テーラーでスーツを仕立ててもらうよう命じます。バドは、自身の実力をゲッコーに認めてもらったような気になっていました。ゲッコーは、バドの媚びへつらうような話し方が気に入りませんでしたが、ディーラーとしての才能を高く評価していたのは確かでした。



バドは、ゲッコーと親交を深めていく中で、株を取得するための戦略の立て方を少しずつ教わります。ある日、ゲッコーと一緒にリムジンに乗っていたバドは、ゲッコーから、次のターゲットについて調べるよう命じられます。ターゲットは、イギリス人実業家の「サー」こと、ラリー・ワイルドマン(テレンス・スタンプ)でした。ワイルドマンは、既にアメリカの市民権を獲得していて、今、ニューヨークに滞在しているといいます。「どこへ出掛け、誰と会うのかを探ってほしい」というゲッコーの頼みを、バドは躊躇します。インサイダー取引で懲役刑になるのではと恐れていたのです。しかし、ゲッコーは、これまで自身がしてきた株取引が違法ではない事、バドのブルースター航空へのこだわりを口にする事で、バドの真面目さを欠点として指摘する作戦に出ます。それでも、バドの気持ちはなかなか変わらず、ゲッコーは、バドをリムジンから追い出しますが、バドはすぐに思い直してリムジンに戻り、頼みを引き受ける事を伝えます。



バドは、早速、ワイルドマンの後を追いかけます。滞在先のホテルから本人が出てくるのを待ち、バイクで空港まで追いかけるバドでしたが、あと少しで追い付きそうなところで、ワイルドマンの乗った自家用ジェットが離陸してしまいます。バドは、滑走路の近くにいたブルースター航空の整備士を捕まえ、「行き先を教えないとクビだ」と脅すと、エリー湖に向かっている事を聞き出します。ワイルドマンは、エリー湖の近くにある鉄鋼会社・アナコット鉄鋼をターゲットにしていたのです。その後、バドは、ゲッコーに電話を掛け、ワイルドマンの1日の行動を事細かく報告。ゲッコーは、アナコット鉄鋼の株を取得する決意をします。そして、バドに、50ドル(日本円で5500円)になるまで1000株単位で株を購入し、周囲に株の購入を勧めるよう、命じます。さらに、ゲッコーは、「ウォールストリート・クロニクル」紙に電話を掛けて、ワイルドマンがアナコット鉄鋼を狙っているとの情報を流す事も併せて命じます。

バドは、J・スタイナム社で、同僚たちや上司のルー(ハル・ホルブルック)に、アナコット鉄鋼の株の購入を勧めます。ルーは、バドが何か焦っているのを見抜き、「この業界に近道はない」と窘めますが、バドは聞く耳を持とうとしません。さらに、バドは、ゲッコーの命令通りに「ウォールストリート・クロニクル」紙に電話を掛けます。この電話をきっかけに、ウォール街で働く金融業界の関係者たちは、ゲッコーの思惑通りにアナコット鉄鋼の株を購入し始めます。



夜になり、バドは、ゲッコーの自宅を訪れます。ゲッコーの自宅では、ホームパーティーが開かれていました。すると、そこへワイルドマンが訪ねてきます。アナコット鉄鋼の株を買い取る事をゲッコーに告げるためでした。ゲッコーは、アナコット鉄鋼をワイルドマンに差し出す事に決め、「(既に業績が悪化している)アナコット鉄鋼の再興に苦労するのを拝見しよう」とワイルドマンを見下します。

ある日の早朝、ゲッコーからバドに電話が入ります。自身が香港の金取引で儲けた80万ドル(日本円で8800万円)をバドに預けるというのです。さらに、バドがホームパーティーに来ていたフランス人インテリアコーディネーターのダリアン(ダリル・ハンナ)に気がある事を妻・ケイト(ショーン・ヤング)から聞いていたゲッコーは、ダリアンが交際中の恋人に飽きてしまっているという情報をバドに提供した上で、「君をリッチにしてやろう。ダリアンみたいな女と付き合う男に。」とバドを鼓舞します。電話を切った後、バドが向かったのは、大学時代の同級生で弁護士のロジャー(ジェームズ・スペイダー)のオフィスでした。1年半ぶりの再会を喜ぶ2人。しかし、バドがロジャーに会いに行った目的は、ゲッコーから預かった80万ドルを使って、ロジャーを自らの野望に巻き込む事でした…。



ハリウッドを代表する監督の一人であるオリバー・ストーン監督がメガホンを取ったこの映画は、フランク・シナトラの「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」をBGMに、ニューヨークの街並みを映したセピア色の映像で幕を開けます。実は、ストーン監督は、メガホンを取っただけでなく、端役で出演もしています。どのような役柄なのかが知りたくなった方は、ぜひチェックしていただけたらと思います。



2010年には、ストーン監督とマイケル・ダグラスが再びタッグを組み、この映画の続編「ウォール・ストリート」が制作されています。私は、「ウォール・ストリート」を映画館で観た事がありますが、当時は、まだ「ウォール街」を観た事がなかったため、物語を理解するのが非常に難しいと感じた記憶があります。今回、「ウォール街」を観て思ったのは、「ウォール街」、「ウォール・ストリート」の順に観て、両者の共通点や違いを楽しむのが大切という事でした。



「楽しむ」と言えば、「ウォール街」に関して、興味深い点があります。それは、マイケル・ダグラスが演じたゲッコーとハル・ホルブルックが演じたルーに、それぞれ実在のモデルがいる事です。ゲッコーのモデルは投資家のアイヴァン・ボウスキー、そして、ルーのモデルは、なんと、ストーン監督の父のルイ・ストーンです。特に、ルーは、バドの焦りを見抜いて窘めるシーンが度々登場するのですが、ルーはバドの上司なのに、その温厚な姿から、なんとなくバドの父親のように見えたので、ストーン監督の父・ルイがモデルと知った時は、思わず納得してしまいました。



ゲッコーを演じたマイケル・ダグラスは、この映画で1987年に第60回アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。注目すべきポイントは、若輩者を間違いなく震え上がらせる威圧感や冷酷な行動の数々、そして、衣装の着こなしです。威圧感や冷酷な行動で、人間の心理的な弱点を徹底的に攻撃する様子には、ダグラスの巧みな演技だと頭では理解していても、怒りで体が震えそうになりました。また、ゲッコーの衣装の着こなしは、群を抜いてセクシーでした。スーツにネクタイ、サスペンダーの出で立ちでいる事がほとんどなのですが、バドと初めて対面したシーンでは、ジャケットを脱ぎ、Yシャツの両袖をまくるだけで、セクシーの度合いがぐっと増していました。



バドを演じたチャーリー・シーンの注目すべきポイントは、心の葛藤です。生まれ育った環境に強い劣等感を抱いていたが故に、ウォール街でカリスマ的な存在のゲッコーとつながりを持つ事に執着していたバドは、ゲッコーから初めて小切手を受け取るあたりから、外見は次第に垢抜けていくものの、垢抜ければ垢抜ける程、人格が悪化していきます。バドは、ゲッコーに違法な行為を強要された時に、ふと良心が蘇りますが、巨万の富を築くという悲願を達成するには良心と縁を切らなければならず、葛藤し続けた結果、遂に、ありとあらゆる人間の心を深く傷付ける覚悟を決めます。バドはこうもしてまで富裕層に入りたいのかと思うと、痛々しく見えて仕方がありませんでした。因みに、バドの父・カールを演じたのは、マーティン・シーン。チャーリー・シーンの父にあたります。マーティンが演じる良心の塊・カールと、チャーリーが演じる野心の塊・バドの意見のぶつかり合いにも、ぜひ注目していただきたいです。



物語の後半では、バドがブルースター航空の社長に就任し、会社の労働組合の役員の一人として社員たちを思いやってきた整備士のカールの真っ当な考えを怒鳴り声で完全否定するまでになります。バドは、もはや金の亡者です。しかし、バドは、ある重大な事に気が付いていませんでした。実は、バドの一番の理解者であるように見えるゲッコーが、年齢が自身よりずっと若いバドを最初から罠にはめようとしていたのです。しかも、ゲッコーには、驚くべき共犯者がいました。バドは、ウォール街で勝者になったはずが、ゲッコーたちによって、地獄の底のさらに下へと押し込められていたのです。この後、バドは、どんな運命を辿るのでしょうか。ぜひ、最後まで、この映画をご覧いただけたらと思います。


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