殺したい女(1986年 アメリカ)

※「殺したい女」は、日本語版のDVDもBlu-rayも販売されていないため、オリジナル版のDVDのジャケットをご覧いただいています。


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アメリカ・ロサンゼルスにある1軒のレストランで、アパレル業界で成功を収めたサム(ダニー・デヴィート=写真左)が、愛人のキャロル(アニタ・モーリス)に、自分と妻・バーバラ(ベット・ミドラー=写真右)の結婚の経緯を説明しています。バーバラは、サムのかつての上司の娘にあたります。上司は正真正銘の大富豪でしたが、病で余命幾ばくもない状態となり、サムは、上司亡き後に遺産を手に入れたくて、わざわざバーバラとスピード結婚。その後、上司は、容態が急変しますが、奇跡的に持ち直し、寝たきりの状態で15年も生き延びました。サムは、想定外の事態となってしまった事から、自力で財産を築きます。上司の死後、遺産はバーバラが相続しましたが、サムは、彼女が相続した遺産は彼女のものではなく、全て自分のものだと考えていました。そこで、サムが考えたのが、彼女を殺害する事でした。



サムは、計画を実行するため、帰宅します。車内の棚の扉を開けて、クロロホルムの入った瓶を取り出し、バーバラを探し始めるサム。しかし、どこを探してもバーバラがいません。いたのは、いつの間にかサムの書斎に入り込んでいた愛犬のマフィーだけでした。計画は失敗に終わり、サムはマフィーに容赦なく当たり散らすのでした。



サムがガッカリしてリビングルームのソファーに座り込むと、何の面識もない若い男性から1本の電話が入ります。男性は、なんと、身代金を手に入れるため、バーバラを誘拐したというのです。男性は、新品の黒のブリーフケースに、印がなく、連番になっていない100ドル紙幣を50万ドル分詰めて、それを月曜の午前11時にホープ・ストリート・プラザまで持参して、近くの公衆電話に次の指示の電話がかかってくるのを待つよう、サムに命令します。さらに、サムは、「誰かに(誘拐の事を)知らせたら、バーバラの命はない。」と脅されますが、バーバラの命の危険は、サムにとって、亡き義父の遺産を自分のものにするビッグチャンスでした。サムは、電話を切ると、早速、警察に通報します。



一方、バーバラは、誘拐犯で、サムに身代金を要求する電話をかけたケニー(ジャッジ・ラインホールド)が運転する車の中にいました。全身が隠れるサイズの麻袋を被せられ、ロープでグルグル巻きにされ、ずっと大声を上げて暴れていました。車がケニーの自宅に到着すると、ケニーは、車に同乗していた妻・サンディ(ヘレン・スレイター)と一緒に、バーバラの体を持ち上げ、自宅の中へ連れて行きます。しかし、その途中、ケニーとサンディは誤って手を滑らせて、バーバラを地下室に落としてしまいます。バーバラはその隙に両腕で麻袋を破り、視界の悪さをものともせずに、ケニーに立ち向かいますが、結局、ケニーとサンディに椅子に縛り付けられてしまいます。バーバラは、口を塞いでいたロープをようやく解かれると、随分大きな濁声で、サムの悪口や閉じ込められた地下室の臭いの臭さをまくし立てるのでした。



この頃、アメリカでは、どのテレビ番組もバーバラの誘拐事件について報じていました。サンディは罪悪感を感じていましたが、ケニーにそんなものはありませんでした。それには、れっきとした理由がありました。実は、サンディの職業は、ファッションデザイナー。以前、サンディがデザインした服「ストレッチ・ミニ」のアイデアを、なんと、サムが盗み、あたかも自分がデザインを手掛けたかのように雑誌で取り上げてもらい、財を成したのです。では、ケニーは、なぜ身代金を欲しているのでしょうか。それは、ケニーがしてしまった大きな失敗が理由でした。サンディが「ストレッチ・ミニ」を考案した時、ケニーが契約書なしでサムと契約を交わし、サムに全財産を預けたのですが、全財産を持ち逃げされてしまったのです。



一方、キャロルは、バーバラを殺害する計画が失敗に終わった事をまだ知りませんでした。キャロルは、計画を実行する様子をもう1人の愛人・アール(ビル・プルマン)に撮影してもらおうと考えていました。撮影が上手く行けば、サムから大金をむしり取る事ができると信じていたのです。キャロルとアールは、でき上がったばかりの偽装パスポートを使って、タヒチに渡るつもりでした。しかし、アールは、うっかりして、全くの別人を撮影してしまいます。



バーバラのいない自宅では、警察の捜査が続いていました。刑事のフランク(アート・エヴァンス)たちは、サムが2階で憔悴しているものと思っていましたが、実際には、白ワインの入ったグラスを片手に、陽気に踊っていました。フランクは、事情聴取を行うため、サムのいる2階へ向かいます。フランクの声が耳に入ったサムは、慌ててグラスを鏡台の下に隠し、嘘泣きをし始めるのでした。その後、サムは、事情聴取を終えると、キャロルの自宅を訪ねます。サムは、嘘泣きしていた事や嘘の供述をしていた事がフランクに気付かれなかったと大喜びします。これで、後は、バーバラの死を待つのみ。サムは、持ち込んだシャンパンのコルクを抜き、グラスに注いで、キャロルと一緒に乾杯をします。



同じ頃、バーバラは、誰もいない隙に脱走を試みますが、途中でケニーやサンディに見つかり、キッチンで電話を見つけると、大急ぎで警察に通報します。ケニーは、銃を構えてバーバラを脅しますが、バーバラは痛くも痒くもありません。バーバラは、ケニーの目をめがけてマグカップを投げ、鼻の付け根に命中させます。ケニーの視界がぼやけている隙に、バーバラはケニーの手首に噛み付いて銃を奪うのですが、銃は使い物になりません。すると、今度は、すぐ傍にハンドミキサーがあるのに気付き、電源を入れて、応戦します。しかし、バーバラは、足をコードに引っ掛けて転倒。ケニーは、バーバラの口を塞ぎ、バーバラは気を失うのでした。



月曜の午前11時、ケニーは、サムが予定通りホープ・ストリート・プラザにいると思い、電話をかけます。ところが、サムはなかなか電話に出ません。サムは、自宅にいました。ケニーがサムの書斎の直通の番号に電話をかけると、今度は繋がり、サムに身代金の受け渡しを水曜に延期する旨を伝えます。しかし、サムの関心事は、身代金の受け渡しではなく、まだ殺害されていないバーバラをケニーがどう殺害するかでした。



2日後、サムは、ホープ・ストリート・プラザでケニーを待っていました。しかし、約束の時間から1時間が経っても、ケニーは現れません。遠くから様子を見守っていたフランクは、携帯電話を使ってサムが立っている場所にある公衆電話に電話をかけ、帰宅を提案します。すると、突然、サムの背後から1人の男性(J・E・フリーマン)が現れます。男性は、新品の黒のブリーフケースに入った身代金ではなく、財布を要求します。さらに、男性は、腕時計や指輪も奪おうとしますが、通行人になりすましていた大勢の警察官に囲まれてしまいます。



その頃、バーバラは、相変わらずあの地下室で悶々とした日々を過ごしていました。地下室のテレビを観る事は許されていましたが、愛用の美容グッズが手元にない事や運ばれてくる食事が粗食ではない事に苛立ちを見せるようになっていました。サンディは、バーバラに嫌われているのがとても辛く、バーバラと同じ空間で暮らす事に疲れ切っていました。この現状を重く見たケニーは、ある決意をします。身代金を50万ドルから5万ドルへと値下げし、翌日までにサムに支払ってもらう事にしたのです。しかし、サムは…。



私がこの映画を観て、まず思ったのは、練りに練ったコメディー映画である事です。普通、誘拐事件は、加害者には悪人のイメージが、被害者には善人のイメージがあるのが当たり前ですが、この映画では、そんな当たり前のイメージが入れ替わっている事に大変驚きました。加害者であるケニーとサンディは、至って真面目な性格で、やむを得ない理由で誘拐事件を起こしています。2人に対して、被害者であるサムは、玉の輿に乗ったり、他人のアイデアを盗んだりと、ずるい事ばかりを考える性格です。サムは、冒頭のシーンで玉の輿に乗った事をキャロルに明かしているので、サムがどのような運命を辿るのかが最初から分かってしまうようなものですが、それでも、ラストシーンまで映画自体を楽しむ事ができました。



サムを演じたダニー・デヴィートは、冒頭のシーンから口調が実に憎たらしく、サムの心掛けの悪さを強く印象付けていました。冒頭のシーンで、愛人と一緒に過ごしている設定にしてあるのも、心掛けの悪さをさらに強調しているように感じました。また、バーバラを演じたベット・ミドラーは、この映画の命と言っても過言ではない、大袈裟な演技に思わず笑ってしまいました。文字通りの厚化粧をして、眩しい色合いの服に袖を通し、両目を全開にして、濁声で大きく身振り手振りをする様子は実に不気味で、サンディが委縮するのも無理はないと思いましたが、不気味な演技に徹して大正解だったのではないでしょうか。



皆さんにもぜひこの映画をご覧いただきたいのですが、大変残念な事に、DVDの日本語吹き替え版も、日本語字幕版も販売されていないそうです。勿論、Blu-rayも販売されていません。私がこの映画を観たのは、2018年7月。NHK BSプレミアムで放送されたものを観ました。ちなみに、その時は日本語字幕版でした。このブログをお読みいただいている業者の皆様、お願いです。吹き替え版でも、字幕版でも、どちらでも構いません。両方はもっと大歓迎です。ぜひ、DVD及びBlu-rayの日本語版のリリースをよろしくお願いします!

※「殺したい女」は、日本語版のDVDもBlu-rayも販売されていないため、オリジナル版のDVDのジャケットをご覧いただいています。


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