コーラス(2004年 フランス)


コーラス メモリアル・エディション [DVD]
角川ヘラルド・ピクチャーズ
2005-12-22

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現代のアメリカ・ニューヨーク。フランス人指揮者・モランジュ(ジャック・ペラン)は、あるコンサートホールの控室で、ソファーに横になって、自身が出演するコンサートの開幕時間が訪れるのをじっと待っていました。しばらくすると、母国からモランジュに緊急の連絡が入ります。それは、母・ヴィオレット(マリー・ブネル)の訃報でした。モランジュは、悲しみをこらえ、コンサートに臨みます。

コンサートを無事に終えて、帰国し、ヴィオレットの葬儀を終えたモランジュ。ある日、彼の自宅を、幼馴染みのペピノが50年ぶりに訪ねてきます。2人は、リビングルームで、少年時代の写真の入ったアルバムを開き、しばし懐かしい気持ちに浸ります。2人が目にした写真の中には、少年時代の2人を含む大勢の少年たちが数人の大人の男性たちと一緒に映っているものがありました。写真の端には、2人にとって一生忘れられない恩師の姿がありました。音楽教師のクレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョー)です。そして、ペピノは、ぜひモランジュに読んでほしい1冊の日記を手元から取り出します。それは、マチューが1949年に「池の底」と呼ばれる場所でつけていた日記で、これまでずっとペピノが大切に保管していたものでした。


オリジナル・サウンドトラック コーラス
ワーナーミュージック・ジャパン
2005-02-23
サントラ

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1949年1月15日、人生で何度も挫折を繰り返してきたマチューは、マダム・ボワスマンの紹介で、問題児を更生させる寄宿学校に舎監として赴任します。そう、この学校の名前こそが「池の底」なのです。初めて校門をくぐろうとしたマチューは、当時まだ幼かったペピノ(マクサンス・ペラン)が誰かを待っているのが見えました。ペピノは、土曜日に迎えに来るという父親をずっと待ち続けていました。しかし、父親は、既に母親と共にドイツ占領下で亡くなっていました。ペピノは、自分が孤児になったという事実をどうしても受け入れられず、二度と帰ってくる事のない父親を毎週待っていたのです。

初めて校門をくぐったマチューを案内したのは、「池の底」の寄宿舎で働く何でも屋のような存在のマクサンス(ジャン=ポール・ボネール)でした。途中、医務室の前まで来た2人。マクサンスは医務室の扉を開けようとしますが、生徒によるいたずらなのか、どうしても開けられません。マクサンスは血管が浮き出る程の力を振り絞り、もう1度扉を開けようとします。しかし、扉が開きかけたその瞬間、扉に取り付けられていたガラスが大きな音を立てて割れ、マクサンスは身体のどこかに痛みが走り、大声で叫びます。マチューが近付いてみると、マクサンスは、割れたガラスの破片で左目を負傷し、血が止め処なく流れていました。

偶然その場にいた校長のラシャン(フランソワ・ベルレアン)は、生徒によるいたずらが原因だとすぐに判断し、生徒全員を校庭に呼び出し、鬼軍曹のような厳しい口調で犯人捜しを始めます。「3つ数える前に名乗り出ろ。さもないと、全員が反省室に6時間入る事になるぞ。」しかし、名乗り出る者は1人もいませんでした。そこで、ラシャンは、隣にいた教師のシャベール(カド・メラッド)から生徒の名簿を借り、マチューに罰を受ける生徒を適当に選んでもらう事にします。マチューが選んだ生徒は、ボニファスでした。自分が行った選択とはいえ、シャベールに無理やり反省室に連れて行かれるボニファスの姿に心を痛めるマチュー。しかし、ラシャンはこれで犯人捜しを終えた訳ではありませんでした。あくまで犯人をおびき寄せるための手段に過ぎなかったのです。マチューが「誰かが密告するのを待つのですか?」とラシャンに尋ねると、ラシャンは、「1週間経てば、(「池の底」の現状が)分かる。」と、マチューに厳しい現実を突きつけます。



厳しい現実は、マチューと入れ替わりで舎監を辞めるレジャンの口からも飛び出しました。レジャンは、以前に「羊」と呼ばれる生徒にハサミで右の前腕を切りつけられ、10針も縫った事がありました。生徒たちの悪行ぶりは、常に常識人の想像をはるかに超えるものがあり、ラシャンをはじめとする教師たちは、軍隊並みに厳しい態度を取らざるを得ないのです。さらに、レジャンは、「医務室の扉でいたずらをしたのは、ル・ケレックの仕業だ。」とマチューに教えるだけでなく、「ル・ケレックとモランジュ(ジャン=バティスト・ボニエ)は、顔は天使でも、心は悪魔だ。」と、警戒心を持つようアドバイスします。こうして、レジャンは、「池の底」を去っていったのです。



その後、マチューは、生徒たちの待つ教室に初めて向かいます。しかし、そこは、どの生徒も大声を上げながら何かを投げ合って遊んでおり、現代の学校に例えるならば、「学級崩壊」の状態でした。マチューがいよいよ教室の扉に近付くと、生徒の1人がマチューに気付き、生徒全員が何事もなかったかのように着席します。ところが、マチューが教室に入り、教壇の段差に躓いてカバンを落とすと、生徒たちは再び大声を上げ、マチューのカバンの投げ合いを始めます。生徒たちの声は、偶然通りかかったラシャンの耳にすぐに届き、ラシャンが教室に入ってくると、今度は、生徒全員が、腕組みをしたまま着席します。教室の端から端までを見渡したラシャンは、マチューの隣で、ただ1人着席しなかった生徒を犯人だと勝手に決めつけ、マチューに罰を与えるよう命じます。マチューは、確かな根拠がない生徒に罰を与える事に異議を唱えますが、ラシャンには長年の経験による自信がありました。結局、マチューは、ラシャンに逆らえず、罰として教室内で立ったままでいるよう、その生徒に命じます。

マチューは、教室の端で生徒を立たせると、真犯人を捜し始めますが、この時もやはり誰も名乗り出ませんでした。マチューがやむを得ずル・ケレックを真犯人だと勝手に決め付けると、教室の端から「僕です」と声が聞こえてきます。実は、マチューの命令で立たされていたその生徒の名前が、ル・ケレックだったのです。マチューは、モランジュに留守番を頼み、ル・ケレックを校長室に連れて行きます。ル・ケレックは、「(マクサンスが目から血を流すケガを負ったのは)冗談でやった事だから、許してほしい。」と、許しを請います。2人が校長室の前まで来ると、3度目の脱走に失敗したルクレールに体罰を与えるため、ラシャンがルクレールを校長室に無理やり押し込んでいました。ルクレールが体罰を受ける時間はマチューの想像以上に長引き、マチューは、校長室が開くのが待ち切れず、校長室から聞こえてくるルクレールの悲鳴を背に、ル・ケレックに医務室でマクサンスの看病をするよう、命じます。教室に戻ったマチューは、ようやく最初の授業を始めます。マチューは、生徒1人1人の事を把握するため、名前、年齢、希望の職業を紙に書いてもらいます。意外な事に、誰もが素直に紙に記入し始めますが、ただ1人だけ、手が止まったままの生徒がいました。マチューは、生徒を優しく励まし、他の生徒の様子を見て回ります。こうして、マチューの「池の底」での初日がようやく終わったのです。



ある日、マチューは、マクサンスの様子を見に、医務室を訪れます。医務室では、ル・ケレックがマクサンスの看病をしていました。マクサンスは、マチューに、かつて「池の底」で起きたある痛ましい出来事を教えます。実は、レジャンにケガをさせた、あの「羊」と呼ばれた生徒が、実は校舎で自ら命を絶っていたのです。マクサンスは、「どの教師も生徒たちの事を悪く言っているが、本当は良い子ばかりなのだ。」と、マチューに理解を求めます。マクサンスの言葉を信じたマチューは、ラシャンに会い、3つのお願いをします。1つ目は、集団処罰を禁止する事、2つ目は、マチューが犯人を罰する事、そして、3つ目は、犯人の名前をマチューの胸に留めておく事でした。これまで、やる事なす事ことごとく失敗に終わってきたラシャンは、どうしてもマチューの言っている内容が信じられませんでしたが、マチューは、「生徒たちを手なずけてみせます。」と、ラシャンに誓うのでした。

しかし、マチューは、いとも簡単に生徒たちに裏切られてしまいます。自身のカバンに入っていた楽譜が盗まれてしまったのです。楽譜は校舎のトイレの床に置かれていました。トイレを通りかかったシャベールは、マチューが楽譜を取り戻す様子を目にし、楽譜を盗んだ生徒の名前を口にしないマチューに対して、「生徒たちを手なずけるのは諦めた方がいい。」とアドバイスします。しかし、マチューは、簡単に諦めたくはありませんでした。



その日の晩、マチューは、大勢の生徒が騒いでいる寄宿舎の部屋で歌を歌っていた生徒・コルバンの歌声が耳に入り、自室から生徒たちの部屋に移動して、改めて歌を歌ってもらいます。歌は決して上手くなかったのですが、歌声には魂がこもっていました。自室に戻ったマチューは、その歌声が耳から離れられず、「音楽の力で何かできないだろうか」と考え始めます。かつて音楽の道を諦め、「池の底」の舎監になったマチューでしたが、久し振りに音楽と向き合えそうな気がしていました。

ある日、寄宿舎が食事の時間だったにも関わらず、モランジュとの面会を希望する人が訪ねてきます。しかし、モランジュは反省室にいるため、校則で面会希望者との接触が禁じられています。マチューは食事を中断し、モランジュに代わり、面会希望者に会いに行きます。面会を希望したのは、モランジュの母・ヴィオレットでした。ヴィオレットは、どうしても、モランジュに荷物を渡したくて、この日が面会日ではない事を承知の上で来ていました。マチューが「(モランジュは)歯の治療のため不在だ」と嘘をつくと、ヴィオレットは、マチューに着替えの服を託して、去っていきます。ヴィオレットはシングルマザーでした。もともと内向的な性格だったモランジュは、窃盗を繰り返し、通っていた公立の学校を何度も脱走した事から、ヴィオレットの意向に反して、「池の底」に入れられてしまったのです。

1月30日、マチューは、教室で生徒1人1人に歌を数小節分歌わせて、彼らをソプラノ、アルト等、幾つかのパートに分けていました。目的は、合唱隊の結成でした。結成後、マチューは、自ら作った曲を用いて、自らの指揮の下、毎晩のように練習を続けます。生徒たちの息は驚く程にピッタリで、どの教師も手に負えなかった頃が嘘のようでした。しかし、ラシャンは、生徒たちの激変ぶりを信じられませんでした。



2月15日、「池の底」とは別の施設で暮らしていた少年・モンダン(グレゴリー・ガティニョル)が、精神科の主治医と一緒に「池の底」にやってきます。主治医曰く、モンダンを施設から外の世界に出して、社会への適応力を見てみたいとの事。モンダンは、読み書きも、会話もできますが、主治医が精神分析やロールシャッハ・テストを行ったところ、「軽度の障がい」とまでは行かない、「劣る」という結果が。つまり、モンダンは、精神障がいが見られる訳ではなく、「池の底」の生徒たちのはるか上を行く問題児だったのです。モンダンは、全く容赦せずに暴力を振るう傾向が非常に強く、虚言癖も相当ひどく、さらに、未成年にして既にヘビースモーカーになっていました。ラシャンは、「主治医の研究の役に立つなら」と、モンダンを受け入れる事にしますが、それは、マチューたちにとって、これまでとは違う厳しい姿勢が求められる日々の始まりでした…。



この映画は、クリストフ・バラティエ監督がフランス映画「春の凱歌」(1944年)を基に制作し、自らメガホンを取ったものです。タイトルが「コーラス」なので、音楽に期待する方が少なくないと思います。確かに、「池の底」の生徒たちが合唱の練習に励むシーンは、歌声が凄く透き通っていて、一体感が伝わってきます。また、映画の後半で、モランジュが合唱の練習の途中でソロパートを歌うシーンがあるのですが、これがまたうっとりするような美声で、それに加えて、ソリストに求められる度胸も画面からしっかり伝わってきて、本当に素晴らしいシーンに仕上がっています。しかし、もっと見応えがあるのは、マチューと生徒たちの人間関係ではないでしょうか。最初は生徒たちから見下されていたマチューが、ラシャンたちが諦めの境地に至っている中で、辛抱強く彼らと向き合う事で信頼関係が構築されていくのは、観ていて気持ちが良いものです。しかし、桁外れの問題児・モンダンが「池の底」の一員となる事で、信頼関係が少しずつ揺らいでいきます。物語の行方を知りたい方はぜひ、ご覧になってはいかがでしょうか。


コーラス メモリアル・エディション [DVD]
角川ヘラルド・ピクチャーズ
2005-12-22

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