パニック・トレイン(2013年 イギリス)


パニック・トレイン [DVD]
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2014-06-04

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イギリス・ロンドン。ある日の夜、妻を亡くしたシングルファーザーで、医師として働くルイス(ダグレイ・スコット)は、7歳になる息子・マックス(ジョシュア・カイナマ)と一緒に劇を観に行った帰りに、タンブリッジ・ウェルズ行きの列車に乗車します。ルイスは、乗車してすぐに勤務先の病院から携帯電話に着信があったため、一人だけ座席を離れます。その間、マックスは、手に持っていた恐竜の人形で遊んでいましたが、通路で、コーヒーを手に持っていた乗客のサラ(カーラ・トイントン)とぶつかり、サラが着ていたコートを汚してしまいます。しかし、サラは、全く怒る事なく、むしろ、にこやかな表情で近くの座席に座ります。



その後、移民の若者・ヤン(イド・ゴールドバーグ)が列車に乗車します。ヤンは、禁煙となっている車内で煙草をふかし、その様子を目撃した車掌に、煙草の火を消すよう、注意されてしまいます。しかし、ヤンには、反省する様子がなく、なんと、無賃乗車をしている事を堂々と告白し、車掌の言う事を聞きそうにありませんでした。さらに、途中で、その場を通りかかった1等車の乗客・ピーター(デヴィッド・スコフィールド)も加わりますが、ヤンは、腹を立てて、ピーターに殴りかかるのでした。





しばらくして、列車は終点に近付きます。随分賑やかだった車内は、終点に近付くと、まるで別世界のように静かになっていました。ルイスは、サラと意気投合した様子で、座席でずっと会話を楽しんでいました。そして、ルイスとマックスが下車しなければならない駅に列車が近付くと、サラは、電話番号を書いた紙をさりげなくルイスに渡し、ルイスの体に絡みつくようにキスをします。サラの大胆な行動に、ルイスはほんの少しだけ戸惑いを覚えます。マックスは、そんな2人に気を遣い、小さな両手で両目を覆うのでした。



ところが、列車は、全くスピードを落とさず、駅を通過してしまいます。その後、列車はどの駅にも停車せず、乗客全員が下車できない状態が続きます。ルイスは、勝手に1等車の座席に座っていた乗客・エレイン(リンゼイ・ダンカン)に、サラとマックスを預け、列車に起きた異変の原因を探りに行きます。



まず、ルイスは、列車のインターホンを使って、車掌に連絡を取ります。しかし、インターホンから聞こえてくるのは、乗客の人数を尋ねる質問ばかりで、声の主が車掌なのかどうかが分かりません。その次に、ルイスは、車掌室の鍵を盗み、車掌室に入ろうとしますが、その一部始終をピーターに目撃され、たしなめられてしまいます。それでも、列車を止めない訳にはいかないと思ったルイスは、非常停止レバーを見つけ、列車を停止させようとしますが、これも上手くいきません。列車は、終点であるタンブリッジ・ウェルズ駅もあっという間に通過してしまいます。



ついに終点も通過し、どこまで走り続けるのかが分からない列車の中で、乗客たちは、それまで募らせていた不安が頂点に達し、パニック状態に陥ります。ヤンは、イライラした気持ちを吐き出すかのようにピーターに殴りかかり、マックスは、次第に無表情になり、声を出せなくなります。そんな中、列車が踏切に入り、大声で騒ぐ若者たちが乗った車と衝突します。双方が衝突した瞬間の感覚は、筆舌に尽くしがたいものがあり、サラは大きなショックを受けます。同時に、その少し前から、不安で体が固まっていたエレインは、心停止となってしまいます。ルイスは、心肺蘇生を試みますが…。



列車という密室の中で物語が展開していくこの映画は、2013年の英国インディペンデント映画賞で、ダグラスヒコックス賞(新人監督賞)にノミネートされました。最初、500ポンド(※日本円で約73,000円)という、かなりの低予算で予告編が制作され、そして、投資を募る目的で予告編がインターネット上にアップされ、本編の制作に至ったのだそうです。映画の冒頭でゆっくりと動いていた列車は、全く停車をしなくなり、次第に火花が飛ぶくらいの暴走状態へと変化していきます。一刻も早く避難したい乗客たちが精神的に追い詰められていく様に、海外の批評家たちは、「まるでヒッチコック映画のようだ」と絶賛しました。



ヒッチコック映画を思わせるパニック状態のシーンは幾つもありますが、その中で、ダグレイ・スコット演じるルイスが車掌室の窓ガラスをなかなか割れず、冷静さを失ってしまうシーンが、特に印象に残っています。他のどの職業よりも冷静さが求められる医師であるルイスは、マックスがいたずらをしても、ヤンに茶化されても、エレインが心停止となっても、感情を抑えられていたのですが、命の危険がいよいよ目の前まで迫り、一気に感情を爆発させます。このシーンでまるで別人のようになるルイスの鬼気迫る表情は、まさに、ヒッチコック映画そのものでした。



この映画は、最初に車内の平穏な光景のシーンが17分にも及び、17分が経過する前に、見るのを止めたくなるかもしれません。しかし、ずっと観続けていれば、スリル感がジワリジワリと出てきます。「これ、知らないなあ」だとか、「全然面白くないんじゃない」だとか思わずに、ぜひぜひ、最後までこの映画を味わっていただきたいと思います。


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